【なんてったってリハビリ!】自然の中で自分らしさを取り戻す「リハビリツーリズム」

2020年11月01日 10時00分

リハビリツーリズムを楽しむ人たち

【なんてったってリハビリ! もしもに備える!基礎知識と最新事情】リハビリ生活を体験した女性医療ライターの熊本美加氏が最新事情をリポート。今回のテーマは自然の中で自分らしさを取り戻す“旅するリハビリ”です。

 脳卒中、心肺停止、はたまた自動車事故など、突然のアクシデントに襲われるリスクは誰にでもあります。

 そんなときでも、日本の優れた医療技術のおかげで、多くの方が命を取り留めています。私も心肺停止で倒れ救急搬送されましたが、生き延びることができました。逆にいうと死ななくなったぶん、脳や体へのダメージで障害が残る人が増加しているのは事実。だからこそ必要になるのは、なんてったってリハビリです。

 今回、ご紹介するのは「楽しまなければリハビリじゃない」という発想から、最近増えている「リハビリツーリズム」。障害を持っている方や高齢で要介護になった方を、旅行で元気にしようとする取り組みです。リハビリに重要なのは、人との交流や刺激。まさに旅はうってつけですよね。

 とはいえ「旅先で何かあったら不安…」「思うように動けないし」と考えるのが正直なところでしょう。でも大丈夫。身体に障害があったり、高齢で旅行を諦めているという方にも、徹底した安心・安全管理の下で充実した旅を提供している会社があるんです。

 そのひとつが株式会社Re・habilitation。障害のある旅行者にマンツーマンで理学療法士が付き添い、さらにリハビリテーション専門医、脳外科医から24時間サポートが受けられる態勢が整っています。

 創設者の一人で脳外科医の道下将太郎氏は、「リハビリはアートと一緒だと思っているので、枠組みがありません。その人のやりたいことを引き出して、居心地よい時間を過ごしてもらいたい」と、急性期から回復期、維持期までをしっかりサポートしたいと話します。

 リハビリテーションツーリズムの概念は、温泉場に滞在して傷を癒やしたかつての湯治文化。そこに安心・安全が確保されていれば、障害があっても旅に出かけられるのです!

「自分が行きたいところに行けて、こうしたいと思った時、すぐそばでサポートしてくれるので、安心して自由な旅ができる」とは、40代で脳梗塞による障害を持った参加者の声。旅先ではバリアフリーではない場所が多くても作業療法士が一緒なので移動はスムーズで、街を散策しながらその土地の文化や風土に触れたり、希望があれば農作業や伝統工芸品作り体験なども楽しめる充実ぶり。自然と体と心を動かすリハビリになっているのです。同行した家族も「障害を持つようになり、眉間にしわを寄せてばかりでしたが、顔つきがすっかり優しくなって驚きました」と笑顔。

 現在は金沢の山に専用施設を持ち、旅行者を迎え入れています。さらに、現地の障害者向けに毎週イベントも開催。ボッチャで競ったり、畑で収穫した農作物で一流シェフが調理した料理を味わうなど、多彩なプログラムが用意されています。リハビリの可能性は本当に広がっているんですね。

 ☆くまもと・みか 医療ライター。昨年、電車内にて心肺停止で倒れ救急搬送。幸運にも蘇生したが、低酸素脳症による高次脳機能障害でリハビリを経験。社会復帰後、あまり知られていない中途障害者のことやリハビリの重要性を発信中。

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