【注目! 令和の健康新技術】今年前半、薬局、薬店、スーパーなどの商品棚に起きた「品切れ」異変はまだ記憶に新しい。「抗菌スプレー」もマスクやウエットティッシュと並んで入手困難になったが、現在では健康や環境に有益な新技術を取り入れたものが登場している。

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、ドラッグストアの店頭から品薄で姿を消す商品がたくさんあった。抗菌スプレーも、その一つだ。

 感染防止対策としてマスク、手洗いや抗菌スプレーの使用が推奨されたからである。その抗菌スプレーの中に使われている新技術に今回はスポットを当てる。

 通常の抗菌スプレーは抗菌成分としてアルコールや銀イオンなどを含んでいるものがほとんどである。そうした成分がウイルスや菌をやっつけるわけだ。だが問題は、その成分によって手が荒れたり、あるいは銀などの金属イオンが環境に負荷をかけたりすることだった。

 ところが、こうした成分を使わないスプレーがある。開発したのは、ナノカム(横浜市戸塚区)というベンチャー企業。一般の抗菌剤のようにアルコールや銀などの金属イオンを使うのではなく、抗菌成分に抗菌ナノ粒子を使っている。

 抗菌ナノ粒子は毒性がなく、人間にも生物にも安全だ。もちろん手が荒れることもなく、さらには生体内や土壌内で分解されてしまい、環境に蓄積されることがない。やっつけた有害細菌が自ら溶けてしまうので耐性菌を生み出すことがないという特色を持っている。生物循環に配慮した融菌技術によって生み出された。

 その「AUSIRO(オウシロ)」スプレーは、抗菌、除菌、消臭、防臭が可能とされており、例えば外出前にマスクにスプレーして抗菌効果を高めたり、靴にスプレーして防臭を図るような形で利用される。ガーデニングの土壌防菌にも使われる。

 実は抗ウイルス剤として米国特許を取得しており、コロナ禍で急速に注目を集めるようになった。従来の消毒用アルコールなどに比較すると、殺菌するのではなく菌が自己融解するので作用が持続するという大きなセールスポイントを持っている。

 次回は抗菌ナノ粒子の成分、作用にスポットを当ててみよう。