【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 DNA鑑定は、実は全ての遺伝子を調べ尽くすわけではなく、DNA内の特定の遺伝形質、つまり“個性が表現される部分”を調べ、その一致率を判定しています。この判定では、赤の他人の遺伝形質が全て一致する確率は数十兆分の1、つまりほぼゼロとされていましたが、最近はそこまで確実な検査法ではない、ともいわれています。

 もっとも、これは犯人特定などの不特定者間で行う鑑定の話で、親子認定の鑑定では事情が変わってきます。子は父親か母親のDNAしか受け継ぎませんから、遺伝形質は“父由来のもの”と“母由来のもの”のどちらかしかありません。

 仮に“数十兆分の1の確率でDNAが合致する男性”が妻の浮気相手だった時は、「親子で間違いなさそうだ」という誤った判定が出てしまいます。逆に「親子ではない」という判断であれば、両親以外の遺伝形質が出た全ての場合が該当するので、正解率は100%で絶対に揺るぎません。

☆よしだ・しん=総合診療科医を経て、現在は精神科医。非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。2009年にはラジオパーソナリティーを務めた。