【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 動脈瘤が発症しただけでは「この世のものとは思えない」ほどの激痛があるものの、即死の危険性はあまり高くありません。しかし、「解離性大動脈瘤」に発展してしまうと即死級の危険が高くなってしまいます。

「解離性大動脈瘤」は、心臓から押し出された血液が最初に通る「大動脈」という太い血管が“裂けた”病態です。“裂ける”といっても動脈に穴が開くわけではなく、動脈血管の壁を構成する膜の一部がはがれて分離した状態を指します。

 大動脈には常に高い圧力で血液が流れているので、一度裂けた動脈壁はその範囲をどんどん広げていきます。結果として動脈瘤に血液が貯留し、全身の血流障害が起きてしまいます。中でも心臓から最も近い「上行大動脈」の動脈瘤が解離すると①脳への血流が一瞬で止まる②心臓を養う冠動脈が詰まって心筋梗塞になる③心臓の外膜が血液で充満し動かなくなる――などの即死級のリスクが一気に生じるのです。

☆よしだ・しん=総合診療科医を経て、現在は精神科医。非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。2009年にはラジオパーソナリティーを務めた。