【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】熱帯アジア原産。日本には既に縄文時代に中国から伝来しており、万葉集に出てくる「宇毛」がサトイモとされている。

 サトイモをはじめ、山芋、ウナギ、ドジョウ、オクラ、納豆、牡蠣…等々の「ヌルヌル、ネバネバ食物」は、昔から「滋養強壮作用が強力だ」と言われている。

 この「ヌル・ネバ成分」は「ムチン(ムコ多糖類)」で、胃粘膜を保護し、胃弱を改善する他、タンパク質の消化を促し、肝臓や腎臓の働きも強化することで、滋養強壮効果を発揮する。

 デンプンが多く含まれ、そのエネルギー化を助けるビタミンB1、脂肪の燃焼を促すビタミンB2の他、良質の植物性タンパク質も十分に含まれており、消化もしやすいので、老人、子供、病人の栄養補給に大変優れている。

 炭水化物、良質の植物性脂肪やタンパク質が含まれる上、米を主食とする日本人に不足しがちなリジンやスレオニンなどの必須アミノ酸も存分に含有する味噌とサトイモの相性は抜群なので、味噌汁にして食べると滋養強壮効果は倍増する。

 その他、多量に含まれる食物繊維は整腸作用を発揮し、便秘に効く。
「K」(カリウム)も多く含まれており、血液内の塩分を尿として排泄してくれるので、高血圧の予防、改善に役立つ。

 サトイモの生食は中毒症状を起こす恐れがあるので禁忌。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「『空腹』の時間が病気を治す」(青萠堂)