医療情報の見極め方 情報の「エビデンスレベル」を測ろう

2020年10月18日 11時00分

医師が言ったからといってすべてが正しいとは限らない(写真はイメージ)

【緩和ケア医・大津秀一 長生きのレシピ】先週から始まった、緩和ケア医として2000人以上の終末期患者を診てきた大津秀一氏が健康法のヒントを公開するコーナー。多くの患者を診てきたからこそ分かることがある!

 前回は医療情報の見極め方として、「言い切り型で伝えられている情報に関しては少し疑ったほうがいい」という話でした。今回は判断基準の一つである「エビデンスレベル」に焦点を当てます。

 最近はニュース番組などでも、この言葉を聞く機会が増えてきたかもしれません。エビデンスレベルというと難しく聞こえるかもしれませんが、例えば「〇〇先生がこう言っていたから――」というのはエビデンスレベルは低いと言えます。医師であろうと専門家個人の意見であり、極端なことを言えば体験談でしかありません。

 他にも、動物実験で得られた結果を基に「〇〇が分かった」などと書かれているリポートもありますが、これもエビデンスレベルは低いと言えます。マウスで有効だからといって、人間でも有効とは限りません。そういったことは頭に入れておく必要があります。

 一方でエビデンスレベルの高い情報とは、いくつかのランダム化比較試験の結果を統合し、それを多角的に解析したものになります。簡単にいうと多くの情報、データを分析したことで得られた結果となります。

 あとは情報に関しては入り口が大事です。インターネットやテレビ、書籍など多くの健康情報が世の中にあふれている中、最初に基本的な情報を入れずに怪しい情報から入ると、それが刷り込みになってしまう場合が多いです。基本が何なのかを知っておくというのは何においても重要です。病気に関しては基本的な情報を知った上で、症例を多く取り扱っている大学病院のサイトや厚労省のサイトなども参考になるでしょう。

 覚えておいてほしいのは、日本は長寿国だということです。従来、日本人の食生活やライフスタイルは、健康に対してそう悪くない向き合い方をしてきました。そこには何事も慎重に取り組み、事前に準備をするといった日本人特有の性格も影響しているかもしれません。

 健康寿命も他国に比べて決してひけを取りません。だからこそ、健康情報に触れたら「その情報に科学的根拠はあるか」「言い切り型の表現をしていないか」。今どきの言葉でいえば、ファクトチェックをするようにしてみてください。情報は得てして、自分の見たいように、感じたいように捉えがちです。そこを注意して、“自分フィルター”をしっかりと持つようにできれば、長生きへの大きな一歩となるはずです。

 ☆おおつ・しゅういち 茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。内科専門研修後、ホスピス、在宅、ホームなど様々な医療機関で終末期医療を実践。東邦大学病院緩和ケアセンター長を経て、オンライン診療も行う早期緩和ケア大津秀一クリニックを設立。多くの終末期患者と向き合ったことで、予防医学にも力を入れる。著書に「1分でも長生きする健康術」(光文社)、「誰よりも早く準備する健康長生き法」(サンマーク出版)など多数。

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