メンヘラビジネスの今 無限に広がる社会的背景「メンヘラがメンヘラを救う」

2020年08月18日 12時00分

スマホを使って簡単に話を聞いてもらえるサービスがウケている

 メンヘラビジネスのポテンシャルは無限大!? メンヘラ女子を対象にしたチャット相談サービス「メンヘラせんぱい」が、来月からパワーアップすることが本紙の取材で明らかになった。2019年4月にサービスが開始され、徐々に浸透しつつある社会的背景とはいったい何なのか?

 念のためにお伝えしておくが、メンヘラとは「病んでいる人」「心に問題を抱えている人」といった意味合いで使われているスラングのこと。もともとはインターネット掲示板「2ちゃんねる」の「メンタルヘルス板の住人」を指していたが、今では「かまってちゃん」のような意味でも使われるようになっているワードだ。

「メンヘラせんぱい」は、とにかく誰かと話したいときにチャットで相談できるサービス。営業時間は午後9時~翌午前3時30分で、「せんぱい」と呼ばれるやさしいお姉さんに、愚痴や悩みを聞いてもらうことができる。料金は300円から。

「本当に死にたくなった時には“こころのダイヤル”があるじゃないですか? でも、そこまで病んでしまう前に、たとえば彼氏とケンカして病んだ…ぐらいの相談ができるところがあったらいいのに、と思ってつくりました」

 こう話すのは株式会社メンヘラテクノロジーのCEO高桑蘭佳氏(26)だ。

 現在同社には、傾聴力テストをクリアした100人の「せんぱい」が登録し、毎晩約30人が待機している。9月からはカウンセリングに近い会話ができる臨床心理士プランとキャバ嬢プランが追加された「メンヘラせんぱいSP.」もリリースされるという。

「メンヘラ女子には、同性と仲良くできないことに悩んでいる子が多いんです。一方で人気キャバ嬢はコミュニケーションスキルが高く、会話する相手が男性でも女性でも上手に盛り上げることができます。女の子同士で明るく会話したいというニーズに応えた格好です。いまは女性限定のサービスだけですが、将来的にはLGBTの方々も受け入れていきたいと思っています」

 メンヘラがビジネスになることに驚く人もいるだろうが、その背景にはメンヘラの拡大、そしてステータス化がある。

「50代以上では、メンヘラと聞いて精神疾患を想像する方もいらっしゃいますが、若い世代ではもっとライトな意味合いで幅広くメンヘラを使っていますし、逆にメンヘラであることをアイデンティティーにする子も増えています」

 自分の存在を認められたいという願望が強いメンヘラにとっては、メンヘラと認識されることが幸せというわけだ。

 最近の流行語「ぴえん(=かわいらしく泣いている擬態語)」「ぱおん(=「ぴえん」の上位互換)」「○○しか勝たん(=好きなものを褒めたたえる)」の語源は諸説あるものの、メンヘラかいわいでは早くから使われており、広告業界や若者離れが著しい小売業界のマーケティングとしてもメンヘラが注目されている。

「実は私もメンヘラで、起業したのはイベント会社を経営している彼氏を束縛したいからなんです。今の目標は彼氏の会社を買収すること(笑い)。私はこの仕事を始めてから以前より生きやすくなった気がしていますし、メンヘラの人たちにとって生きて病みやすい世界になったらいいなって思います!」

 メンヘラがメンヘラを救う、この世界は素晴らしい――。