【ヘルス新潮流】アナタの職場に安心をお届けします――。新型コロナウイルス感染症の終息が不透明な中、新手の医療サービスが現れた。ウイルスの有無を調べるPCR検査よりも手軽で簡単な「抗体検査」が世間の注目を集めているが、検査キットと看護師を注文できる“デリバリー検査”が今、話題なのだ。その実態に迫った。

 緊急事態宣言中は出前やテークアウトといった業態の需要がアップ。新たな生活様式「ウィズ・コロナ」はすでに根付きつつあるが、これからの時代は検査も“出張”がスタンダードになるかもしれない。

 日本でいち早く抗体検査の重要性を訴えたのが元大阪市長の橋下徹氏(50)。3月下旬に高熱を出した同氏はPCR検査ではなく抗体検査を熱望し、ツイッターで「日本も早急にやるべき」と主張。その後、プロ野球巨人軍の坂本勇人内野手(31)、大城卓三捕手(27)に陽性反応が出たことで広く認知され、今ではソフトバンクグループなど大手企業や自治体、日本相撲協会や五輪競技団体も導入。過去の感染歴が分かるだけでなく、医療機関の負担を軽減させる意味で重宝されている。

 とはいえ病院に行く時間がなく、自力で検査するにも何を買えばいいか分からない人も多いのでは? そこでお勧めなのが、注文すると検査キットの配達とともに医療資格を持つ担当者も一緒にやって来る“デリバリー型”のサービスだ。イタリアの医療メーカー「アルファ・ファーマ社」の抗体検査キットを扱うABCプランニング株式会社(東京・千代田区)は主に団体向けに商品を受注。人数分の検査キットを届け、派遣された担当者がその場で使用方法などのレクチャーを行う。

 看護師の資格を持ち、出張検査に同行している同社の大宮希望氏(26)は「医療機関への受診が困難な方や通院に不安を感じる方もいる。そういった不安を少しでも解消するお役に立てれば」と話す。職場で同僚と一緒に検査を受けられ、結果は約15分で判明。最近では「隣の先輩がマスクをしない」「あいつは陽性なんじゃ…」とギクシャクする職場もあるようだが、この“出張検査”なら不信感を一掃し、職場の一体感も生まれるだろう。

 なお、同商品は1体3300円(税込み=派遣費や対象人数などは応相談)で、PCR検査との整合性は90%以上。すでに複数の企業、病院や自治体に提供しており、好評を博している。今後、ますます広まっていきそうだ。