【50代バツイチ女性医療ライター・心肺停止から蘇り日記】電車内で心肺停止。なんとか一命を取り留めた経験から、皆さんに伝えておきたいことがあるそうです。50代独身(バツイチ)の女性医療ライターが、つづります。

 ある日突然、ぶっ倒れた私は、バツイチ一人暮らしという脆弱すぎる状況…。

 そんなもろもろをサポートしてくれたのは、4つ下のデキる妹でした。3人の娘の子育てと仕事を両立しながら、私の知人や仕事関係への連絡から、入院手続きや支払いまで全てこなしてくれました。後に分かったのですが、私のスケジュール帳に書かれた汚いメモを手がかりに、予約していた美容院のキャンセルまでしてくれていたのです。どんだけーっ!

 けれど、そんな妹でさえ頭を抱えたのが、私のスマホのパスワード。ロックが解除できないので、着信があっても電話を取ることができません。思いつく数字を打ち込んでも、エラーの連発。致し方なくケータイショップに出向いて相談すると、「パスワードはご本人様しか分からないのです。初期化するしかありません」と言われ、絶望した妹の脳裏によみがえったのは遠い日の記憶――。

 私の進学が決まり、地元で上京前に親に連れられ人生初の銀行口座を作りに行ったときのことです。キャッシュカードのパスワード設定を求められ、たまたま付き添っていた妹に、「誕生日の数字を借りるわ~」と私が伝えていたのです。

 さらに、毎年、自分の誕生日に恩着せがましく、「パスワードに使っているせいで、忘れたくても忘れられないから」とオメデトウコールがあることも思い出したそう(苦笑)。スグに自分の誕生日の数字をちょっとアレンジして打ち込んでみたところドンピシャ。ロックは無事に解除され、その瞬間にかかってきた電話に出ることができたのです。

 なんとその相手は、東スポの担当者さん。ちょうど「タメシテ男活!」という男性を元気にする記事を連載中でした。「締め切りをとっくに過ぎてるのに何度電話しても連絡が取れない!」と若干キレ気味。妹は事情を説明して平謝り。大変、ご迷惑をおかけしました。

 というわけで、パスワードっちゅーのは、実に厄介なもの。日々の暮らしでも、パスワードを忘れて面倒なことになりがちです。突然倒れるケースだけでなく、亡くなったパートナーのPCやスマホが開けないと困っている方はかなり多いそう。もしもパスワード解析をプロに依頼すると相当な高額になってしまいます。

「見られたくないこともあるよね…」「知らないほうが幸せなのかも」という意見もありますが、パスワードを管理して、必要なら信頼できる人に託しておくのが賢いのかもしれません。(医療ライター・熊本美加)