【心肺停止から蘇り日記】第3のオッパイ誕生

2020年04月25日 10時00分

皮下植込み型除細動器(S―ICD)

【50代バツイチ女性医療ライター・心肺停止から蘇り日記】「リアルな体験談が生々しい」と話題の当コーナー。山手線内で心肺停止し、周囲の助けで救急搬送、何とか復活した50代独身(バツイチ)の女性医療ライターが、その経験を明かします。

 冠攣縮狭心症による不整脈で突然ぶっ倒れた私。今度同じように不整脈で倒れた場合に、周りに助けてくれる人が居合わせるとは限りません。「死にたくなければ皮下植込み型除細動器(S―ICD)を入れることをオススメします」と循環器の主治医のアドバイスで、私の左脇に直径約7センチ、厚さ約7ミリの医療機器が埋め込まれました。

 これはペースメーカーとは違います。簡単に言えばAED小型版。心臓に異変が起きたら自動的に作動し、心臓を整えてくれるお守りです。しかも本体とリードが心臓や血管に触れないニューバージョン。2016年2月に発売されたばかりで、今のところレアものです。

 合併症の発生率が少ない上に、不必要と判断すれば取ることも可能。さらに、遠隔モニタリングシステムがセットになっていて、常に病院で私の心臓データが管理され、異常が発生すると医療側へアラートが鳴り響く万全の仕組み!

 もちろんデメリットもあります。常にスマホが脇に埋め込まれたような違和感は否めず、“第3のおっぱい”がポコッとできた感じのフォルム。「気をつけ」で直立不動になれないし、ラグビーなどの激しいスポーツはできません。ライブでも前につっこめないし、ぎゅうぎゅうの満員電車はちょっと怖いです。

 S―ICDを圧迫するので、「寄せてあげるキツめのブラは一生できない…」と同世代の友人に訴えましたが、「今どきブラなんて誰もしてないよ~。みんなゆるいブラトップ」と笑い飛ばされました。電気を流すマッサージや電気風呂もダメ。電気風呂のビリビリが大好きだったのに、外部からの電気刺激で誤作動を起こすと「ドスッ!」と強い衝撃を受けてしまうのです。

 そんなS―ICDは作動しなければ通常約7年は電池が持ちますが、作動すればそれより早く電池切れに。そのタイミングで機器交換のための手術をすることになります。もはや死ぬ運命や宿命は、医療&ITの進化でパラダイムシフトが起きています。

 蛇足ですが、私がご臨終となった場合も、心臓の異常を察知してS―ICDが作動するの?と不安になったのですが、気になって調べたところ心臓がけいれんすれば作動するけれど、静かに脈が消えていく時には動かないとのこと。もし作動しても5回で止まる仕組みだということで、ちょっと安心しました。 (医療ライター・熊本美加)