新型コロナウイルス感染拡大防止のため、テレワークを行う方が増えています。満員電車を避け、自宅で仕事に取り組めるなど、メリットも多く挙げられてますが、気を付けてほしいのが肩こりです。

 肩こりはパソコンやスマホのブルーライトによって交感神経が優位になり、常に緊張状態にあることも大きな原因の一つ。テレワークで逆にオンオフの区別がつきにくく、パソコンに向き合う時間が長くなり、肩こりを悪化する方も増えているようです。

 同時に、ストレスも良くないです。実は肩こりは「対人関係の病」ともいわれるぐらい、周りとの関係性に大きく影響を受けます。たとえば今の時期でいえば、新しい職場で慣れない仕事に取り組んでいる方や、新しい役職、人間関係構築に悩まれている方…何より大きなストレスは言うまでもなく、新型コロナウイルスですよね。

 自粛、自粛で神経をすり減らす中、特に真面目な人はストレスを抱え込みやすいです。頑張り屋さんで責任感が強いとも言えますが、こういった方は思ったことを口に出せずにため込む性質があり、知らず知らずのうちに首、肩に力が入っています。ひいては筋肉の血行障害を起こすことで肩がこってしまいます。自覚して対策に乗りだしたほうがよいでしょうね。

 簡単にできる対策として私は「あご押し」を勧めています。人さし指であごを後方へぐっと押し込むのです。

 もともと肩こりの原因では姿勢が大きなウエートを占めます。肩の上にしっかりと頭が位置していないとどうしても首が突き出るようになって、自然と猫背になってしまい、首の頸椎を圧迫。肩こり、頭痛、めまいなどが起こることも分かってきました。「あご押し」を行うことで頸椎が元の位置に戻り、肩こりや頭痛の軽減につながりますよ。

 ほかにはテレワークといえど、長時間パソコンと向き合うことは避ける、スマホは時間を決める、1時間に1回はストレッチを行う。何より大事なのは気持ちの持ちよう。自分自身を追い詰めず、「ま、いっか」と今の時期は自分を甘やかしていきましょう。

☆工藤孝文(くどう・たかふみ)福岡大学医学部卒業後、糖尿病などの生活習慣病、甲状腺疾患などホルモンの疾患を専門に勉強。現在は福岡県みやま市の工藤内科で減量外来を含めた地域医療に取り組んでいる。「あさイチ」「ホンマでっか!?TV」などメディア出演も多数、「心と体のもやもやがスーッと消える食事術」(文藝春秋社)、「ざんねんな人体のしくみ」(青春出版社)など体のメカニズムに関する著作も多い。