【心肺停止から蘇り日記】心肺停止はある朝、突然に

2020年04月11日 10時00分

【50代バツイチ女性医療ライター・心肺停止から蘇り日記】50代独身(バツイチ)の女性医療ライターが心肺停止で倒れた。救急搬送→リハビリ→復帰。病院で過ごした喜怒哀楽の2か月間をつづる前代未聞の新企画がスタートです。

「上司が心筋梗塞で突然死」「友人が脳梗塞で倒れて入院中」といった話を耳にすること、ありませんか? それでもまだ人ごと。「自分だけは大丈夫」と根拠のない自信を、私は持っていました。あの朝、心肺停止でぶっ倒れるまでは…。

 厚生労働省が公表した2018年人口動態統計によると、日本人の3大死因は、1位がん、2位心血管疾患、次いで老衰。あいまいな定義の老衰が、ついに脳血管疾患を抜き3位に浮上しました。

 死亡者数はがん約37万人、心血管疾患約20万人、老衰と脳血管疾患はそれぞれ約10万人。ただし、心筋梗塞や脳卒中が厄介なのは、たとえ命を取り留めたとしても後遺症が残るリスクがあること。そうなれば生活の質が著しく低下してしまいます。事実、脳卒中は寝たきりになる原因疾患の第1位。もしも、そんな事態に見舞われたら一大事と想像していましたが、実際に経験してみると驚がく! まさに百聞は一見にしかず。

 その日の朝、出がけに胸に痛みを感じ、仕事先に「ちょっと遅れます」と連絡。移動中の車内で心臓停止に陥りました。顔から床に倒れ込み、大量の鼻血を流し、泡を吹いていたそう。呼吸が停止すると口にたまっていた唾液がブクブクと吹き出されるんですって。その時、心臓に酸素を送っている冠動脈がけいれんし、心臓への酸素供給がストップして危篤状態に…。

 私の向かい側の席でそのありさまを目撃した乗客の女性が「急病人がいます」と即座に携帯で救急車を手配してくれたそうです。電車乗務員にも連絡がいき、車内からの指令で次の駅に駅員さんが待機。到着するやいなやホームでAED&心臓マッサージを開始。その5分後には救急隊が到着し病院へ搬送。心肺停止から1時間弱で、私は集中治療室で人工心肺につながれました。

 意識なく横たわる私の周りに駆けつけた親族は、涙しながらも「葬儀」「脳死」「後遺症」という恐怖におびえ「誰が介護する?」「3匹の飼い猫はどうする?」などシビアな話し合いをしたといいます。その1週間後――なんと私の心臓は自力で動きだしたのです。顔も名前も知らないたくさんの人たちの超最強最速の連係プレーで、奇跡的に生き延びました。

 当連載では、その後、入院患者になって体験したエトセトラを毎回お伝えしていきます。

(医療ライター・熊本美加)