【産業医の独りごと】「ワークエンゲージメント」をいかに高めるか

2020年03月05日 10時00分

 今回は「ワークエンゲージメント」という言葉を取り上げます。これは簡単にいうと「仕事や職場に関する愛着心」という意味になります。働き方改革で労働者の生産性向上がテーマとなる中、職場でのエンゲージメントレベルをいかに上げるかが、最近注目を集めています。

 では、どんな時に私たちは、「仕事が好きだな」と思うでしょう? それは人それぞれですし職種にもよると思います。ただ、多くの人の指標となるのは「自分の仕事に価値があると思えること」と、「職場の人間関係が良いこと」の2つではないでしょうか。

 もちろん、世の中に価値のない仕事なんてひとつもありませんが、その中で大事なのは「期待されていること」と「キチンと評価されること」。この2つが自覚できると仕事の価値を感じやすいとされます。つまり、わかりやすい目標を共有し、それが達成できたらしっかりと称賛したり褒めたりするということです。

 一方で、寡黙で勤勉な日本人は、「人に評価されるために仕事をやっているわけじゃない」「長く苦しい修業や訓練の結果として一流になるんだ」という職人的な感覚がある人も多いのも事実。ここに書いてあるような内容に違和感を持つ人もいると思います。そもそも日本は過去に行われた調査ではエンゲージメントレベルの低さが話題になったこともあります。ここには前述の寡黙で勤勉な性格が影響しているように思えます。他者に対する評価や声がけが苦手、またチームとして働く意識が薄いといった方もまだまだいるかもしれませんね。

 ただ今後は働き方にも多様性が求められる中で、誰もが働きやすい職場にするにはコミュニケーションとしての「納得感のある評価」は非常に大切です。当然、最初から仕事が得意な人はいませんし、若手や仕事に就いて間もない初心者は不安でいっぱいです。だからこそそういう時期は、職場の先輩からのわかりやすい目標設定と達成感を感じられる評価が必要なのです。

 年齢に関係なく誰でも熱意と活力を見いだし、没頭することができるとエンゲージメントが高い状態になります。当然、本業でもいい結果が生まれます。まずは職場の同僚と小さなことでもいいので目標を立てて言葉にすること、その後、達成感を共有することでレベルを高めていってもらえればと思います。

(都内事業所勤務・A男)