【産業医の独りごと】糖尿病予備軍と診断されたら症状がなくてもきちんと治療を

2020年02月06日 10時00分

 治療と仕事の両立を目指す両立支援、3回目となる今回は「糖尿病」について取り上げます。

 糖尿病という言葉を聞いたことがない人はいないと思いますが、原因や症状、経過について詳しく知ることは難しいものです。簡単にいうと糖尿病とは血液中のブドウ糖(血糖)が多くなりすぎる病気。ブドウ糖は膵臓から出るインスリンというホルモンによって血中の濃度が一定範囲に保たれますが、糖尿病という何らかの原因でインスリンの働きや分泌量が減弱してしまう状態になると様々な症状が引き起こされてしまうのです。

 働く世代になってから発症する糖尿病の多くは2型と呼ばれるもので、いくつかの遺伝的な因子に生活習慣が加わって発症します。過食や運動不足、ストレスなどが原因です。

 今、日本には糖尿病とその予備軍の人が2000万人以上いると言われています。働く世代に限れば、4人に1人以上の人が直面する事態ですが、問題は糖尿病の治療は途中で中断してしまう人が多いこと。それはなぜでしょうか?

 いろいろと理由はあるのですが、最も大きいのは糖尿病の初期には自覚症状がほとんどないこと。つまり痛くもかゆくもないのです。

 でも症状がない時期に生活習慣の改善や治療をしないで放置しておくと10年、20年後に失明や腎不全、下肢の切断などの深刻な合併症を高い確率で引き起こしてしまいます。そうならないために、糖尿病や予備軍と診断されたら、症状がない時期からキチンと治療を受けたり、生活習慣を良い状態に保つことがとても大切なことが分かっていただけるのではないでしょうか。

 加えて定期的な治療を中断してしまう人は男性で50歳未満の方が多いという報告があります。それは年齢的にもちょうど家庭や仕事で多忙になり、治療に通いきれなくなってしまうという背景もあるようです。

 糖尿病は長く付き合う病気。忙しいという理由で受診をしないのは自分自身にも会社にとっても長い目で見たら確実に痛手です。以前は治療を受けていたけれども症状がなく自己判断で通院をやめているという方は、ぜひ治療を再開してください。

 また、今の自分の状態が分からない人は健診結果を見直してみましょう。40歳以上の方の健康診断には必ず血糖に関するチェックが入っています。“たかが”では済まされません。人生100年時代、長く働くためにも体重、血糖コントロールにしっかり目を配りましょう。

 (都内事業所勤務・A男)