若い女性たちを中心に「ほうじ茶」が大ブームになっている。それに合わせ各メーカーからも、ほうじ茶を使ったドリンクやスイーツなどの商品が続々と登場し、売り上げを伸ばしている。特に注目を集めているのは一番茶を使用した「一番茶ほうじ茶」で、リラックスと集中力アップの効果があるといわれている。今回は、そんな「ほうじ茶」の魅力に迫ってみた―。
 
◇「香ばしい香りでリラックスできる」と女性に人気

 ほうじ茶は、一般的には、番茶を焙煎したものをいう。香ばしく、口当たりがあっさりとしていて、刺激が少なく胃にやさしいとされている。

 ほうじ茶の最大の魅力はその“香り”にある。ある調査によると、緑茶を焙じることにより香ばしさが生まれ、また苦味や渋味などの成分が減ることでまろやかな味わいになるという。

 緑茶には摘み採る時期により、「一番茶」「二番茶」「三番茶」「秋冬番茶」といった種類がある。

その中でも、その年最初に摘まれた新芽のお茶である「一番茶」には、うまみ成分となるアミノ酸が多く含まれており、一番茶ほうじ茶は、甘く香ばしい香りが際立って感じられるのだという。

◇一番茶ほうじ茶の香りはリラックス効果だけでなく、集中力が高まる

「ほうじ茶」の香りの効果については、専門家も認めている。

 杏林大学古賀良彦名誉教授、十文字学園女子大学・小長井ちづる准教授らが、アンケート調査と脳波測定を行った。

 飲用した場合に与える心理学的な効果や、脳機能への影響を、「ほうじ茶」と「緑茶」という我が国で最も好んで用いられる飲料について、香りと味が最も際立つ番茶を用いて評価し、両者の特徴を明らかにした。

 アンケート調査(VAS法)では、1都3県に在住する健康な20~44歳の男女109人に対し、一番茶を使用した「ほうじ茶」と「緑茶」をブラインド法(※どちらの飲料かを被験者には伝えずに調査を実施)で飲用させた後、意見を聞いた。
 
 その結果、ほうじ茶は緑茶と比較し、「リラックス」「快」「新しい」「気持ちいい」「ストレス感が少ない」「ほっとする」「集中力が高い」「香ばしさが強い」「おいしい」の項目で評価が高かった。特にストレス感と香ばしさの項目については、統計的な有意差(明確な差異)が見られたという。

 脳波測定では、アンケート調査に参加した人のうち、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35~39歳、40~44歳の各年齢層の男女1人ずつ、計10人を抽出(うち、有効データの得られた被験者は8人)。その結果、「ほうじ茶」では、集中力の指標となる脳波「P300」が早くピークに達するという結果が出た。

 この結果を受けて古賀名誉教授は次のようにコメントしている。

「脳実験からは、ほうじ茶はほどよいリラックス効果をもたらすばかりではなく、集中力を高めることが示されました。このリラックス作用は眠気を伴うゆったりとした感じとは異なり、脳の機能が十分に発揮できるような、ほどよいリラックス状態をもたらす働きがあるといえます。一方、緑茶は気分をすっきりさせ、積極性を向上させるという、ほうじ茶とは異なったが効果があるということもわかりました。またアンケート調査からは、ほうじ茶は緑茶よりも集中力を高め、かつストレスを軽減するという結果も得られています」

 ほうじ茶は、ストレス社会に暮らす現代人に幸せ感をもたらす働きがあるといってもよいだろう。