今週から2週にわたって、ストレスチェック制度の仕組みを説明します。

 この制度は2015年に法律で企業に対して実施が義務付けられました。従業員の方には定期健康診断のように強制力を持った受検の義務はないのですが、年に1回は自分のストレス状態に気づくためにも積極的に活用することをオススメします。

 ところで、そのストレスチェックの中身ですが「仕事でのストレス要因」「心と体のストレス反応」「周囲のサポートの程度」の大きく分けて3つの項目を質問票に回答してチェックする形が一般的です。つまり、仕事や職場でどんなことに疲れているのか、自分の体ではそれによってどんな反応が起こっているのか、上司や同僚、または家族や友達などはどんな関わりをしてくれているのかなどをチェックする方法となっています。

 ストレスといっても目に見えないもの。そのため、これら3つの項目で自分の今のストレス状態に少しでも気づき、メンタルヘルス不調を未然に防ごうということなんですよね。結果として、返却の時にストレス解消法などを紹介してくれることが多いので参考にしてみましょう。

 また、私はこの法律ができる前から似たような仕組みを導入している会社をいくつか知っていますが、どこの会社もおおよそ10%程度の人が高ストレスの状態に分類されるようです。会社はそういった高ストレス状態の人に対しては、医師による面接指導を勧めます。より丁寧にストレス状態をお医者さんと一緒に自覚するためです。

 そして、よくある質問に「ストレスチェックを受けたらうつ病と診断されて会社を辞めさせられるんじゃないか?」というモノがあります。でも、落ち着いて考えてみてください。会社は病院ではありません。15分程度のチェックリストでうつ病かどうかなんて判断できるわけもありません。

 つまり、このチェックはあくまでストレス状態を自分で「見える化」するものとなります。ストレスフルとされる昨今、1年に1回でも自身のストレス状態を測る機会があるのは産業医の立場としてもいいことではないかと感じています。もちろん、個人情報保護もキチンと法律で定められていますので、安心してしっかりと受けていただき、ストレスケアに努めてください。

 (都内事業所勤務・A男)