【産業医の独りごと】課題残る“働き方改革” 経営者側の意識一つで一変することも

2019年09月26日 10時00分

 働き方改革の導入から半年が経過しました。制度との板挟みで悩む企業も出てきており、今回はそのあたりの話を取り上げてみます。
 
 大きな変化はやはり残業の抑制です。時間外労働の上限を「月45時間・年間360時間」と定めたことで、最近は多くの会社でIDカードをタッチすることで、自動的に勤怠を管理するようになってきました。
 
 一方では、まだ運用に困っている会社も現実にあります。理由としては「仕事量も減ってないし、すぐに残業時間を減らせない」というもの。長時間労働の社員にはランキング方式にして注意を促したりなどもしているのですが、“常連さん”はなかなか変わらず。中にはいまだに「家に帰りたくないので会社にいます」という困った方も。会社が自分の家のような感覚になってしまっているんですね。
 
 会社側としては社員の健康面も気になりますし、何とか手を打ちたいとは考えていますが、具体策を打ち出せず「先生、どうすればいいですか?」と悩み相談を受ける場合も多いです。
 
 産業医は今年の4月から権限強化の一環として、会社側から労働時間や労働者の健康管理を行うための情報提供を受ける立場となりました。そのことを受け、相談を受ける機会も増えているワケですが、一つには常時50人以上の労働者を使用する事業所で義務づけられている衛生委員会を話し合いの場として利用してもらってもよいと思っています。
 
 例えば衛生委員会に社労士の方に入ってもらい、労働時間の問題を話し合うのもアリではないでしょうか。産業医は、職場の健康管理が主な守備範囲なので、労働者の健康状態などについて意見を述べて、労務環境の改善を会社に勧告するところまではできます。
 
 ただし、労務環境の法的な面をチェックし、会社にその問題点を助言する役割は少々荷が重く、そこでは社労士の役割が期待されます。
 
 健康に関しては産業医、労務上の問題に関しては社労士…と役割分担が可能となれば、さらに会議も円滑に進むのではないかと考えました。
 
 残業に関しては社の利益にも関わる事案のため、なかなか一律には減らしにくいことも理解はできます。ただ、特に中小企業においては経営者側の意識一つで会社側の体制が大きく変わることも往々にしてあります。私たち産業医もさらに力を尽くしていきます。
 
 (都内事業所勤務・B男)