【ダイエット王子・工藤孝文の痩せる門には福来る】そろそろ夏の疲れが出始めるころ。そんなお疲れ気味の方々にピッタリの食材をご紹介します。

 今回は高タンパク、低カロリーとして有名な鶏むね肉をクローズアップ。疲労回復や抗酸化作用に役立つ「イミダペプチド」が含まれており、これを恒常的に取ることで疲れにくい体となります。

 鶏むね肉の効用はこれだけではありません。肉のタンパク質に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンは精神安定、快眠にもつながるセロトニンを生み出すもととなります。同じくアミノ酸の一種のロイシンは筋肉の分解、合成に関係することから鶏むね肉を取ることが筋肉組成に役立ち、ひいてはロコモティブシンドローム(運動器の障害により要介護リスクが高まる状態)解消にもつながるとあって僕の患者さんにも積極的に勧めています。さらに目の健康を保つビタミンAも豊富に含まれますし、脳の疲労回復にも役立つことが分かっています。
 
 そして鶏むね肉に含まれるイミダペプチドと一緒に取ると、より疲労回復効果が高まるのがこちらも夏に欠かせないクエン酸です。クエン酸はレモンやグレープフルーツ、梅干し、黒酢などに含まれる酸味成分を指します。クエン酸にはミネラルの吸収を高める効果があり、夏場、特に汗として流れてしまうことが多いミネラル補充の観点からも大事です。だから夏場の部活時には、レモン水が欠かせないんですね。 
 
 鶏むね肉+クエン酸のおすすめレシピとしては黒酢を使った酢鶏などがいいかもしれません。黒酢にはお肉を柔らかくする効果や減塩効果があります。夏野菜を入れ、中華風に炒めれば疲労回復にはもってこい。黒酢は脂肪を吸収しにくく、高血圧を抑制する効果も認められています。
 
 最後に調理法について。鶏むね肉でよく言われるのは、食感がパサパサしていて食べにくいということです。その点をカバーするために塩をふりかけた上で片栗粉をまぶし、沸騰したお湯にさっと入れます。その後は火を消して余熱で30分ほど置けば、しっとり、ジューシーなサラダ用のチキンの出来上がりです。
 
 最近ではコンビニ、スーパー等でサラダチキンとして取り扱いもあるので、こういったものをうまく利用してもいいでしょう。
 
☆くどう・たかふみ=福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、糖尿病などの生活習慣病、漢方・東洋医学・ダイエット治療を専門とし、自身も10か月で25キロの減量に成功した。現在は福岡県みやま市の工藤内科でダイエット外来を含めた地域医療を行う。NHK「あさイチ」「ガッテン!」、日本テレビ系「世界一受けたい授業」などテレビ出演、ダイエット・東洋医学に関わる著書多数。最新刊は「医者も驚いた!ざんねんな人体のしくみ」(青春出版社刊)。医師+(いしぷらす)所属。