【産業医の独りごと】食中毒に要注意の季節 細菌を「つけない」「増やさない」「撃退する」が予防の大原則

2019年08月22日 10時00分

食材に触れる前にも手の洗浄は必須だ(写真はイメージ)
 夏場に増えるのが食中毒です。今回から2回に分けてお話しします。
 
 まず食中毒の原因にはウイルスや細菌、化学物質などがあります。中でもこの時期、発症例が多いのは細菌性食中毒です。
 
 夏場に食中毒が多くなるのは温度が関係しています。細菌の増殖には適した温度があり、一般的に35度前後でよく増殖します。まさに今の時期に増えるのがお分かりになるかと。
 
 細菌性の食中毒には感染型と毒素型があります。感染型は細菌に感染した食品を口にし、細菌が体内で増殖することで発症します。代表的な例としてはサルモネラ菌や腸炎ビブリオ、カンピロバクターなど。
 
 対処法としては細菌を食物に感染させない、付着させないことが大事になります。加熱、消毒、手洗いなどの徹底が求められます。感染型食中毒は加熱すると細菌が死ぬため、しっかり加熱することがポイントになります。
 
 一方の毒素型とは細菌が食品中で増殖して毒素が作られるものを指します。最大の特徴は加熱しても熱に耐性のある毒素はなくならず残っていること。そもそも食物上で細菌を増殖させないことが大事です。代表的な例としては黄色ブドウ球菌、セレウス菌、ボツリヌス菌など。
 
 よく夏場に仕出し弁当やおにぎりなどの食中毒のニュースを耳にすることがあるかと思います。これらは黄色ブドウ球菌によるものです。毒素型の一種である黄色ブドウ球菌はもともとは人の手のひら、耳、喉などにある常在菌ですが、夏場の気温が高い状態で手に傷があったり手荒れしている状態で、おにぎりなどを握ると特に感染する確率が高まります。そのため、夏場の調理には必ずビニール手袋を使用すること、手、指の洗浄消毒の徹底が必須です。
 
 細菌性の食中毒の予防法としては細菌を「つけない」「増やさない」、食べ物、調理器具に付着した細菌を「撃退する」という3つのことが大原則となります。調理を始める前には手の洗浄を徹底する、スーパーで肉、魚等の生鮮食品を買った際はたとえ短い距離でも氷で冷やすなどして、高温多湿が好きな細菌の増殖を許さないことも大事です。さらに調理道具、まな板、包丁などはできれば洗浄後に、除菌剤まで使用すればかなりの確率で菌をシャットアウトできます。
 
 次回は見過ごしがちな「食中毒が起きやすい食べ方」の事例をご紹介します。
 
 (都内事業所勤務・B男)