【中高年のための性感染症講座】イボを見逃すな “若者”だけじゃない尖圭コンジローマ

2019年08月20日 10時00分

 男女の80%以上が生涯に一度は感染するといわれているのがヒトパピローマウイルス(以下HPV)です。

 HPVとひとくちに言っても、現在確認されているだけでも150種類以上の異なる型があり、良性のものならイボができる尖圭(せんけい)コンジローマが知られています。子宮頸がん、肛門がん、膣がん、外陰がん、咽頭がん、陰茎がんの原因ウイルスとしても、最近注目が集まっています。

 中でも、HPVと聞いてみなさんが真っ先に思い浮かべるのは女性の子宮頸がんではないでしょうか? 子宮頸部にHPV感染したとしても、9割は気が付かないうちウイルスが消えてしまいます。しかし、特にハイリスクタイプである16型と18型の持続感染により、将来的にがんを引き起こすことがあるので、決して軽視することはできません。

 一方、尖圭コンジローマは、主に性行為によってHPV6型と11型に感染すると発症します。これも他の性感染症と同様に、オーラルで口腔咽頭内部へ、アナルで肛門や直腸内への感染が増えています。

 感染することで、表面がとげとげしたイボが、男女ともに性器周辺や肛門まわりの皮膚や粘膜にできます。はじめはとても小さくて、形はカリフラワーのようだったり、時にニワトリのとさかのようだったり。痛みがない上、見つけにくい部分に潜み、陰毛にも隠れ上手なので、ドクターでさえも初期症状は見過ごさないよう入念に診察するのです。

 しかも、ウイルスに感染して、実際にイボが目視で確認できるようになるまで3週間~8か月と個人差があるので、心当たりがあってスグ検査に行っても症状を確認できないことがあります。あくまで治療は症状が出てから。しばし様子見になります。 

 もしも症状が出てから放置しておくと、約3割の人は自然に治る場合がありますが、残りの7割はイボが大きくなり、増えて、時には悪臭を放つこともあります。何より無自覚に、自分のパートナーへ感染させている危険が…。

 治療はイボを切りとったり、レーザー治療をしたり、薬を塗って治しますが、再発率が30%以上という高さ。イボが消えてからも1年以上は注意したほうがよさそうです。セックスをする時は、必ずコンドームを使用してください。

 ちなみに「性の健康医学財団の研究プロジェクト(平成23年9月~平成26年12月)」による、泌尿器科男性患者における亀頭HPVの751例の平均検出率は25%。年齢別検出率は、20歳以上で高リスク52型28・5%、51型11・5%、16型10%、18型8%。あらゆる年代で高リスク型HPVが10~15%検出されていました。性活動が不活発な高齢者も感染源になり得ることが示唆されたデータとも言えます。

 ある程度のHPVは個人の免疫力機能により排除されるものの、加齢やストレスで免疫力が下がるとリスクは高まります。まずはイボを見逃さない! イボに気が付いたら、すぐに検査・治療。そして自分が感染していたらパートナーにも検査を促してください。

(医療ライター・熊本美加)

☆くまもと・みか=「公益財団法人 性の健康医学財団」の機関誌編集員として、性感染症予防・啓発に加え、幅広く性の健康について情報発信に携わっている。