【産業医の独りごと】親しい同僚が亡くなったら…「なかったもの」にしない

2019年08月01日 10時00分

これからお盆を迎える地域も多いはず(写真はイメージ)
 お盆も近いとあって、いつもと少し違う話題を。とても残念なことですが、私たちは職場の仲間の死に遭遇することがあります。こうした時に気にかけておきたいことを、お話ししてみます。
 
 職場で親しくしていた同僚を亡くすことはおそらく最大級の喪失経験の一つであり、身近であればあるほどそのショックは大きいものです。
 
 また、家族ほど情報やいきさつを知らないことが多いので、どうしても突然感が強く、心の準備ができません。その結果、パニックのような症状に陥ったり、何も考えられなくなったり、場合によっては感情がマヒしてしまうことも…。普段の落ち着いた自分ではしないような言動をしてしまうこともあるのです。
 
 そんな時は、ジッと耐えたり、「なかったものとして普段通りにする」ことはしないでください。悲しいことだからと口に出さないのではなく、職場のみんなでその人のことを話題にして差し上げることが大切です。それは死因や詳しい事情である必要はなく、むしろ亡くなった人が好きだったことやちょっとしたクセ、自分が最後に話したのはどんなことだったか、などがいいでしょう。社内に看護職や産業医がいる場合は一緒に話に参加してもらってもいいかもしれません。
 
 もちろん、日々の仕事を粛々と行うことも大切ですが、こうして話題に出すことで事実や悲しみを仲間と共有できるので、徐々に受け入れる気持ちの余力が出てくるものなのです。
 
 ただ、その際に「自分に何かできることがあったのではないか?」など、過去を振り返っての感情に悩む人もいます。でも、自分一人がその人の死に関わっているのではないですし、亡くなった人は残った人が苦しみながら働くことを望んでいるわけではないと思います。そういうことに気づくためにも、仲間と話し合う場所をつくることは大切です。そしてその場では、解決しようとしたり、アドバイスをし合う必要はありません。そっと寄り添い、共感するだけでいいのです。
 
 今回は職場の仲間を例に出しましたが、家族や友人が亡くなった場合にもあてはまります。お盆の時期、大切な人を思って、ぜひ皆さんで話す場所を設けてみてください。
 
(都内事業所勤務・A男)