南北首脳会談まだスタートライン 核放棄前にリタイアの可能性も

2018年04月27日 12時00分

軍事境界線を越え、握手を交わす文大統領(右)と金正恩氏(ロイター)

 韓国の文在寅大統領(65)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(34)による27日の南北首脳会談に先立ち、同日午前9時ごろに両首脳が握手をかわした。歩いて南北軍事境界線に足を運んだ正恩氏を文氏が満面の笑みで出迎えた。正恩氏が韓国側に入った後、2人で北側に入る“サプライズ”もあった。

 およそ11年ぶりの直接対話で国際社会が期待するのは、北朝鮮の完全なる非核化。これまで攻撃的な言葉で米国を始めとした“敵国”を挑発し、ミサイル発射実験を繰り返してきた正恩氏が、今年に入ると、別人になったかのように“核放棄路線”にかじを切り始めた。

 これに乗ったのが韓国の文大統領。韓国側はこの日の会談で、北朝鮮の非核化に関する意思が合意文書として明文化されることを期待している。

 一方の北朝鮮は体制保証につながる朝鮮戦争の終戦宣言をしたい考え。どちらにしても友好ムードが演出されることは間違いないが、そのまま額面通りに受け取っていいのか?

「デイリーNKジャパン」編集長の高英起氏は「メディアの皆さんも誤解されていますが、南北首脳会談で北朝鮮の非核化が決まり、ただちに平和が訪れることはありません。マラソンで言えば、まだレースも始まっていない状態。スタートラインに立っただけのことです。仮に非核化に向けて合意できたとしても、核放棄には技術的にも5~10年はかかります。その間に、北朝鮮の態度が変わることも十分あり得るのです」と警鐘を鳴らす。

 今回のテーマは「非核化協議」ではなく、南北の首脳が「まず会う」こと。ここである程度の道筋をつけ、米国のドナルド・トランプ大統領(71)との米朝首脳会談に向かうというわけだ。

「金正恩は積極的に外交しているが、ひと言も『核兵器を放棄する』とは言っていない。あくまで条件付きで、北朝鮮側は経済制裁の解除や資金援助を求めている。せめぎ合いの交渉はまだ始まったばかり。非核化というゴールに向けて歩み出したのかもしれないが、ゴールに到着する前にリタイアすることもあり得るんです」(高氏)

 南北融和ムードに浮かれるのはまだ早いようだ。

 なお、トランプ米大統領は26日、5月下旬から6月の開催を目指す米朝首脳会談について「検討している日取りは3、4日、場所は5か所ある」と明らかにした。米FOXニュースの電話インタビューで答えた。