27日に行われる南北首脳会談で、北朝鮮“女性ツートップ”の役割に注目が集まっている。

 注目の“女性ツートップ”の1人目は、今年2月に韓国で開催された平昌五輪で“外交デビュー”した正恩氏の妹・金与正氏だ。性格は人見知りが激しく、目立つことを極端に嫌うと伝えられる。朝鮮労働党宣伝扇動部の副部長で正恩氏PR担当を務める与正氏について、日本の公安関係者は「文大統領と会談した際、独裁者・正恩氏のイメージ払拭に努めた」とその役割をみたうえで、こう語る。

「与正氏の韓国への印象操作は長けていた。文大統領との会談では、丈の短い真っ白なジャケットを着用した。白い服装は、朝鮮半島の伝統服を思わせるので好印象を与える。与正氏の狙いは『同じ民族同士、仲良く対話しよう』だった。帰国後は、正恩氏と笑顔で腕を組んだ姿の写真を公表し、兄妹の関係が良いことをアピールした。これで韓国側は、柔軟路線にかじを切った北朝鮮を疑わなくなったのです」(公安関係者)

 2人目は正恩氏の李雪主夫人だ。北朝鮮メディアは、与正氏が文氏と会談した同じ時期から、それまで雪主夫人に仲間という意味で“同志”との呼び名を使っていたが、突然、見識や教養が豊かな女性への敬称として使われる“女史”に変えた。先月の訪中で正恩氏に同行した雪主夫人は、落ち着いたベージュ色の服を着こなし、好印象で迎えられた。だが、政府関係者は「北朝鮮の巧みな外交戦術が隠されていた」と分析する。

「雪主夫人はまだ若いが、習近平(中国国家主席)夫妻と対等に話し合いができる知的で上品な“ファーストレディー”のイメージをつくった。以前、雪主夫人はブランド品のバッグを持ち歩き、派手な服を着ていたが、中国訪問では、黒い人民服の夫・正恩氏とのバランスを考慮し、質素な服を着て好印象を与えた」(同)

 方向転換を簡単に成し遂げた与正氏と雪主夫人。首脳会談でも、金ファミリー体制維持のために、手段を選ばないイメージアップ作戦に出ることが予想される。