「ガセ大雪」に恨み節

2013年02月08日 11時00分

 雪なんて大して降らないじゃないか! 6日、東京近郊に恨み節がこだました。気象庁が5日、都内に「大雪注意報」を発表したことで、6日は近郊の人々が大変な目に遭った。「降らなかったんだから、よかったじゃん」などと軽々しく言ってはいけない。電車が減らされ駅のホームは人であふれるわ、前夜には無駄にスコップを買わされるわ、スカイツリーでも…。そんなこんなの“ガセ大雪”大騒動の顛末を――。

 気象庁は5日、「深夜から6日にかけて雪が降り、東京23区でも多い所で正午までに10センチの積雪になる。1月14日並みの大雪になりそう」という予報を出したが、ふたを開けてみるとそんなことには全くならなかった。

 確かに雪は降ったが、それも午前中まで。すぐに雨に変わった。ところが、だ。「雪じゃなくて一安心」とはならず、多くの人が振り回される事態となった。

 テレビやラジオ各局が気象庁の発表を事前に伝えていたため、交通機関は“大雪シフト”で万全の備えを固めていたのだが、逆にそれがアダとなってしまった。

 JR東日本では通常の7割程度に運行数を減らした結果、大混乱を生じさせた。顕著だったのが東京・北区にあるJR赤羽駅。朝の通勤・通学客が駅構内にあふれかえった。ホームにすら入りきれない人の列が階段から下の改札階にまでズラ~リ。「ディズニーランド並みの行列」「150メートルはあった」と乗客ら。中には、怒りに任せツイッターに書き込んでいる人もいた。程度の差はあれど、このような混雑は他の私鉄でも見られた。

 また、東京・江東区のホームセンター「コーナン江東深川店」では6日の開店時、すでに雪対策グッズが店頭から消えていた。店員は「5日の時点で雪かき用スコップ、長靴、そして車のタイヤチェーンが完売した」と話す。全国のホームセンターは気象予報さまさまといったところだろう。

「1月の大雪の時も完売しましたが、開店後に『まだスコップありますか?』という連絡が何度もありました。今日はありません」(店員)

 結局、客にとっては1年に1回使うかどうかも分からないスコップを買ってしまい、収納場所に困ってしまうことになった。

 スコップを買った客と同様に「だまされた!」と思っているのはマイカー族だ。一般社団法人「日本自動車連盟(JAF)」では「1月の大雪のときは通常の20倍。7万件の(救助要請の)入電があった」と明かす。しかし、6日の電話は静かなもの。「大雪の予報だったので、出控えされた方が多かったようです。今日の入電はほぼ通常通り」(JAF)

 ただし、大雪を信じてタイヤにチェーンを装着していた人からのSOSは届いた。「朝になって雪がないから外そうとしたらチェーンがからまった」という内容だった。

 東京スカイツリーも雪情報と戦った。先月、ツリーから落ちた雪塊が地域の屋根を壊したことは記憶に新しい。「1月14日のときも80人態勢で警備に当たった」(ツリー広報)が、今回はなんと「昨日から対策本部を立ち上げ、130人で雪の監視に当たっている」という。

 結局50人も増員したが大雪にならず。それでも「ツリーの上のほうに、みぞれまじりの雪が付いているのが見える。引き続き監視に当たります。我々としては雪の予報が出たら人数を割きます!」。

 気象庁や気象予報士がひとたび「大雪」という言葉を出すと、多くの人がそのために時間とお金と労力を使うことになる。もっとも「降らない」との予報で降られる方が、一般的に人々のダメージは大きい。まさか「1月に降らないって大雪になったから、とりあえず降るって言っとけば…」なんてことはないと思うが…。