米国のトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の米朝首脳会談が「中止もある」と不穏な情報が流れている。

 当初、5月末までの開催を目指す米朝首脳会談だったが、トランプ氏は9日の閣議冒頭で、「われわれは5月、あるいは6月初めのある時点で彼らに会うことになるだろう」と話した。下交渉では、北朝鮮が朝鮮半島の非核化を協議する意向があると米側に伝えたとされる。

 会談の場所を巡って、北朝鮮は大胆にもトランプ氏に「平壌へ来てもらいたい」と打診。ほかにはスウェーデンやモンゴルの首都ウランバートルでの開催も示したが、まだ決まっていない状況だ。

 正恩氏は韓国で開催された平昌五輪開会式に妹の金与正氏を派遣するなどの“ほほえみ外交”を展開。自らも電撃訪中し、習近平国家主席との首脳会談を実現させた。今月27日には韓国の文在寅大統領との南北首脳会談を行う予定で、米朝首脳会談の前までにはロシアのプーチン大統領との会談もささやかれる。正恩氏は米朝首脳会談で局面の打開を図りたい考えだが、政府関係者は「正恩氏がトランプ氏との米朝首脳会談にコマを進められるかは不透明だ」と疑問視する。

「米側は、正恩氏が言ったとされる非核化の協議が、核とミサイル開発の完全放棄を意味するものか聞いていない。会談場所も正恩氏が自身のプロパガンダに利用する危険があり、平壌で開かれることはない。トランプ氏は、正恩氏が核とミサイル開発を完全放棄(する確約を)しない限り、米朝首脳会談に応じないとみられる」(同)

 米中間の“貿易戦争”を見てもトランプ外交は、常識が通じない。米朝交渉が進められる中で突然、首脳会談の開催が中止されることもあり得る状況だ。その瞬間に朝鮮半島は再び緊張が走ることになる。