北朝鮮「非核化」公言の欺瞞 警鐘作家が狙いを分析

2018年03月30日 17時00分

 韓国と北朝鮮の閣僚級会談が29日開かれ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領による首脳会談の4月27日開催が決定した。正恩氏は3月26日に中国の習近平国家主席と会談し、5月末までには米のトランプ大統領との首脳会談が予定されている。防衛問題に詳しく「日朝、もし戦えば」などの著書がある警鐘作家の濱野成秋氏が、“平和路線”に転向したとも見える正恩氏の狙いを分析した。

 核開発とミサイル発射実験を続けてきた正恩氏は、2月の平昌五輪を契機に韓国との融和路線にかじを切り、2007年以来約10年半ぶりとなる南北首脳会談が、4月27日に板門店「平和の家」で開催されることも決まった。先日は中国・北京を電撃訪問で初外遊。習近平国家主席に対し、朝鮮半島の非核化に向けた意思を示したとも言われているが、一連の行動の狙いは何か。濱野氏はこう語る。

「北がこの期に及んで無条件に非核に走るはずは絶対にない。北は今回の訪中で、戦略をダイナミックに転換させただけ。ミサイル、核、(制裁対象の石油の)瀬取り、拉致、仕送り、スリーパーセル(潜伏工作員)、密貿易は、みな細々外交。じり貧路線だと金将軍も分かっている。だから、作戦を練り直し、まず中国擦り寄り作戦で活路を開き、『ミサイルなしなら経済支援惜しまず』の中韓から大金流入を図る戦略に切り替えた。うまいものである」

 北朝鮮をコントロールし、米国との貿易戦争にも備えたい中国側は正恩氏を受け入れ、かつての蜜月関係に戻ろうとしている。

「その先はこう読める。核武装が生きがいの将軍さまは、一転して非核化に。しかし、非核化をちらつかせたのは、中国を後ろ盾にする策謀の一環で、南北会談でも韓国に同調させる方便である。三者足並み揃えてアメリカに『当然、あんたも非核化しなさい』と出るわけだ」

 非核化には必ず査察が伴う。北朝鮮としては、米国が保有する全核弾頭を廃棄してくれとなるが、米国が応じるはずがない。

 濱野氏は「では駆逐艦や潜水艦の核装備ミサイルを放棄しなさい、と北は来るだろう。アメリカはデストロイヤー(駆逐艦)搭載分だけでも500や700基あるとか。北の査察官をどやどや甲板に、そんなこと、やれるわけがない。『それでは自分から潜水艦査察を受け入れよう』と将軍さまはおっしゃるだろう。古い装備で、いまさら隠す必要もない機器ばかりだ。次はアメリカが見せる番となり、ポンコツ潜水艦を見せる。1つ、2つ、3つ、と廃棄を実行しつつ、両国は知らん顔をして新型核弾頭の開発にいそしむだろう」と語る。

 この種のプロセスで、非核化はできるハズもない。結局、新旧爆弾の入れ替えとなるのが関の山という。これで平等か、互角かといえば、利すのは北朝鮮という見方だ。

 濱野氏は「北は経済封鎖を解かれ、インフラ援助で何兆円ともらい、一挙にリッチに。北は好きなだけ投資活動を受け入れる。アメリカの技術者も来る、弾丸道路もできる。この過程で得するのは北朝鮮だけ。アメリカは封鎖を解かざるを得ず、もはや北を攻撃対象にできないほど過剰投資で引き揚げチャンスを逸することになる」と指摘した。

 軟化作戦で莫大な富を得て、トランプ大統領も打ち負かす。この青写真通りに事を運べれば、正恩氏はとんでもない策士となるが…。