日本人急増バンコク南東部シーラチャ「独身者用」エレベーターがあるワケ

2018年03月30日 07時00分

日本人マダムが眉をひそめるシーラチャの風俗街

【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】タイで暮らす日本人7万人のうち、1万人ほどが住むといわれるのが首都バンコク南東部のシーラチャだ。近くにタイ最大の輸出港レムチャバンがあり、巨大な工業団地が林立、自動車関連をはじめ、日系の製造業が多数進出。日本人駐在員の生活拠点になっている。

「円高の影響もあり、海外に工場を建てる日系企業が増えた。駐在員が大挙し、シーラチャはここ数年で様相が一気に変わった」と現地在住5年の駐在員。ただの地方都市だったのに日本人が急増し、今ではイオンモールもある。日本食は何でも食べられ、日本人学校、日本語フリーペーパー、スーパー銭湯まである。

 日本人向けの風俗施設も目白押しだ。「中心部の日本風居酒屋が並ぶエリアに現地人女性がはべっているカラオケやスナックが数十軒密集し、工場勤務で他に大した楽しみもないオジサン世代が毎晩のように遊びに来て、若いタイ人の女の子に夢中になっている」と駐在員。当然ながら“連れ出しOK”で、相場2000バーツ(約6700円)ほどで一夜を共にできる。擬似恋愛にハマっている日本人男性は多い。

 一方、そんな色っぽい光景を苦々しく思っているのが駐在員の奥さんたちだ。かつては駐在員の男性が単身で住む“天国”だったが、日本人社会の規模拡大に伴い、家族で赴任して来る駐在員が急増し、主婦が大きな勢力を持つようになった。日本人は同じコンドミニアムに住むケースが多く、女性たちは見たくもない“お持ち帰り現場”をロビーなどで目撃してしまうこともしばしばだ。

 男性の立場から駐在員はこう嘆く。

「奥さん連中が自治会みたいなものを作って、風俗店から連れ出して来る男性に注意喚起をするようになった。部屋のドアに『風俗嬢を連れ込むのは風紀的に問題があるのでやめてください』と貼り紙をされた人もいる。独身で別に浮気しているわけでもないのにひどい話だよ」

 あるコンドミニアムでは2基あるエレベーターが「独身者用」と「ファミリー用」に分けられた。「子供たちに風俗嬢を見せたくないという配慮から」とのことだが、独身用のエレベーターは「エンジェル・リフト(天使のエレベーター)」と軽蔑の意味を込めて呼ばれているとか。

 そんな奥さん同士の対立もある。海に面した大きな公園に初めて子供を連れて行く、いわゆる“公園デビュー”のときは、先輩ママに気を使う必要があるという。会社の社宅として指定され、同僚や上司の家族と同じコンドミニアムに住まざるを得ないケースもあり、ご近所付き合いの心労は相当なものだとか。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、4年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「海外暮らし最強ナビ・アジア編」(辰巳出版)。