森友学園の国有地払い下げを巡る問題で、財務省が決裁文書の書き換えを認め、当時の理財局長・佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が27日に行われることが決まった。そんな中で「確保・保護せよ」と名前が挙がっているのが、安倍昭恵首相夫人付きの秘書だった谷査恵子氏だ。

 決裁文書の書き換えで昭恵夫人の記述が削除されていたことで、野党は「昭恵夫人が圧力をかけていたのは疑いようがない」「内閣総辞職に追い込む」と大騒ぎ。昨年から続く昭恵夫人の国会招致要求を改めて行う構えだ。

 森友騒動がぶり返すや、経済産業省からの出向で、昭恵夫人付きの秘書を務めた谷氏も再び注目を集めている。森友学園が学校建設用地の定期借地の長期契約を昭恵夫人を通じて依頼した際、谷氏が財務省に照会し、森友側に回答していた。昭恵夫人が学園の籠池泰典被告(当時理事長)に100万円の寄付金を渡したとされる疑惑でも、谷氏はその場に同行していた“キーパーソン”だ。

 谷氏も野党から国会招致を要求されていたが、昨年8月に在イタリア日本大使館の1等書記官へ異動となり、日本にはいない。元経産官僚の古賀茂明氏はツイッターで「始まりは総理夫人の昭恵さんの関与であることを官僚は皆知っている。全てを知る谷査恵子さんが心配だ。赴任先はイタリア…。今すぐ帰国して真実を話して欲しい」と書き込んだ。

 12日に行われた野党合同ヒアリングでは、谷氏の聴取が要求されたのと同時に、近畿財務局の職員が自殺したことを受け「これ以上“犠牲者”を出してはいけない」と野党議員の中からは不穏当な発言も相次いだ。

「財務省が書き換えた文書からは昭恵夫人と森友に関する“新事実”は出なかった。安倍政権として一番怖いのは、谷さんが何か話すことでしょう」(永田町関係者)

 ノンキャリ職員ながら異例ともいえる在イタリア日本大使館勤務に“栄転”となった谷氏。今回の騒動で帰国する日は遠のきそうだが…。