奇病に苦しむフィリピン幼女に世界中から救いの手

2018年03月09日 08時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜リポート」】フィリピン・マニラに住むジリール・クルーズちゃん(2)は、舌が異常に肥大する奇病に生まれたときから苦しんでいる。口から大きくはみ出た舌は15センチ以上にまで成長。さらに厚みも増し、常に口を大きく開けていないといけない状態だ。

「これはリンパ管腫という珍しいタイプの腫瘍」とは、小児医療事情に詳しい記者。

「主に赤ん坊に見られる難病で、首の周りのリンパ節に腫瘍ができるものだが、舌にできてここまで発達するケースはほとんど聞かない。多くが先天性で、良性なので転移はないが、発生する部位によっては気道を圧迫したり、呼吸困難を引き起こすこともある」

 ジリールちゃんも呼吸に苦しみ、食事もままならず、いつ窒息してもおかしくない状態。だが、それでも時折見せる子供らしい笑顔に、両親のゲリーさんとマリーさんは救われている。

 現在、腫瘍を小さくするための化学療法や投薬を受けているが、問題は資金だ。フィリピンは経済成長を続けているとはいえ、まだまだ貧困層も多く、平均年収は日本円で50万円以下。ゲリーさんは日雇い労働者で、月収2万円にも満たない。家族が暮らしていくだけで精一杯なのに、ジリールちゃんが2日に1度服用する薬の費用は月1万円近くかかる。国や地域の援助を受けているが、それでも生活は厳しい。

 化学療法が奏功した後、舌の腫瘍が浸潤した部位の切除手術を予定しているが、その費用は約30万円。フィリピンの庶民にとっては大金だ。米国や英国では、同じ病状の子供を手術で治した実績があり、資金さえクリアできれば治療は可能と考えられている。

 そこで支援団体により立ち上がったのが、ネットを通じて不特定多数の人に資金援助を呼び掛けるクラウドファンディング。「GoFundMe(ゴーファンドミー)」という大手クラウドファンディングサイトにページを開設した。

 昨年12月半ばの開設当初は、サイト内に山のようにある資金募集に埋もれ、注目すらされなかった。ところが、その痛々しい姿に目を留めた英メディアの報道で流れが変わった。少しずつ寄付が寄せられ、620ポンド(約9万円)集まった。目標額を2000ポンド(約29万2000円)に設定し、フェイスブックでの拡散も進めている。

 母マリーさんは「ジリールは私たちにとって光。この先どうなるかわからないけれど、べストを尽くしてやりたい。将来かわいい女の子になることを毎日祈ってる」と話している。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、4年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「海外暮らし最強ナビ・アジア編」(辰巳出版)。