有数の温泉地を持つ大分県別府市が1977年に150円とした入湯税を最大500円まで上げる方針だ。3月の議会で条例改正案が可決されると、来年3月までに実施される。

 地方税の入湯税は標準額を150円として、金額は条例で変更できる。市の入湯税は温泉施設宿泊客から徴収して、観光振興や温泉保護にあてられている。市の税収は年々減少しており、昨年10月から別府観光業界関係者が参加する「別府のみらい検討会議」で値上げ導入の是非が議論されてきた。

 最大500円の金額は全国の温泉地でもトップクラスであり「別府は高くつく」という風評被害が懸念される。一方、会議の委員も務める別府観光協会専務理事・安波照夫さんは「別府は観光客の7~8割がリピーター。来てもらえたら、値上げにも納得してもらえるのでは」と話す。

 値上がりは温泉利用者すべてに適用されない。宿泊料が6001円超~5万円の場合は250円。5万円超は500円として、6000円以下は150円の据え置きだ。12歳以下や修学旅行客も同様である。

「別府市内には温泉が145もある。観光客のほとんどが2つ以上の温泉を回る」(温泉ファン)。なかには無料のものや100円で入れる温泉もあり、別府滞在中に入湯税の支払いに悩まされ続けることはない。「5万円以上の旅館に泊まる客にとって500円は気にならない」(前同)という意見が多い。

 来年のラグビーW杯、2年後の東京五輪の開催で現在四十数万人の外国人客が来年には50万人、再来年には60万~70万人へ増加すると見込まれる。このタイミングの値上がりは“インバウンドボーナス”を見込んでのものだ。

 会議では値上がりよりも、値上がりへの納得感を得ることが重要視された。市では入湯税の使途を透明化する方針だ。