【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】タイを訪れる外国人旅行者が一度は必ず訪れるのがタイ古式マッサージだ。中でも歩き疲れを癒やしてもらえるフットマッサージはお手軽感もあり人気。だが“恐怖体験”もしばしば起きる。

 この正月、首都バンコク中心部・プラトゥーナム地区の某店で、日本人A氏(40代)は「施術後、左足が右足の1・5倍くらい腫れて、帰国後は1週間ほど自宅静養してました。一緒に足裏マッサージを受けた友達は全く何ともなかったし、自分もバンコクでは何度も受けてたから、まさかこんなことになるとは…。旅行は普段より体力を消耗するから、体力が落ちてたところに運悪くって感じかな」と語る。

 A氏だけたまたまというわけでもないらしい。「友達も帰国後、足裏をやって足が腫れ上がったと言ってたし、帰国したら40度の熱が出て体調を崩したという知り合いも何人かいる」という。帰国後、歩けなくなるほど足が腫れた別の男性は、病院で抗生物質を処方してもらい、完治まで2週間かかったそうだ。

「そういや、ホテルのベッド枠がちょうど弁慶の泣き所に何度か当たって切り傷があった。足裏を受けた時、素手でマッサージオイルだかクリームをヒザくらいまで塗られたから、それで何かに感染したんじゃないかと思うんだけど」とA氏。

 確かに足に傷があり、不衛生な店だったりすると、足からバイ菌が入るケースがある。マッサージが趣味の現地在住日本人が指摘する。

「足をまず、たらいのぬるま湯に浸して、ブラシでゴシゴシ洗ってくれるけど、このブラシが汚れてることがある。中にはブラシを全く洗わず使い回してる店も。高級店でも意外に気を使ってなかったりする。このブラシからバイ菌が入る可能性があるから、僕は初めての店ではブラシを使わないようにお願いしてる」

 清潔な店を選びたいものだが、オススメは医学としてのタイ・マッサージの総本山で知られる寺院「ワット・ポー」。中庭で施術を受けられる。この寺は観光スポットとして人気だが、公共交通機関でのアクセスは悪い。バンコクの目抜き通りでBTS(スカイトレイン)が走る、スクンビット通りのソイ(小道)39にもその直営店はある。

 スクンビットのソイ24にある日本人経営の「アジアハーブ」も、料金はやや割高だが清潔で安心。またタイ通の旅行者には、日本人向け歓楽街タニヤ通り近くにある「キングススパ」や「有馬温泉」「ザ・プライム」が支持されている。

「マッサージは店よりスタッフ。うまいスタッフは他店から引き抜かれたりするから、個人的に連絡先を聞いておけば、今どこで働いてるかわかる。それに若い子より、オバチャンの方が力強く、技術を持ってるのは確か」(前出日本人)

 万が一の時は「サミティベート病院」や「バンコク病院」など、日本人専用窓口を設ける医療機関がある。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、4年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「海外暮らし最強ナビ・アジア編」(辰巳出版)。