韓国が北朝鮮にコケにされっぱなしだ。女子アイスホッケーの合同チームのドタバタ編成、楽団の特別待遇などなど、平昌五輪を前に北朝鮮の言いなりのようにも見える。6日、五輪期間中に行う公演のため韓国入りした「三池淵(サンジヨン)管弦楽団」は当初、陸路で韓国入りする予定だったが、北朝鮮は海路への変更を韓国に通告し「万景峰92」で入った。北朝鮮の船を港に出入りさせるのは韓国の独自制裁に抵触し、今回の特例措置に米国などは怒っている。五輪成功のためとはいえ、韓国はなぜ北朝鮮のわがままをここまでのんだのか。

 貨客船・万景峰92は6日午後4時半ごろ、韓国東部・東海市の墨湖港に入港した。同船は宿舎として使用される。韓国統一省によると、万景峰92の韓国入港は2002年の釜山アジア大会以来で約15年ぶり。港では保守団体らが反対集会を開き「北朝鮮に帰れ!!」と連呼した。

 万景峰92は韓国国旗を手にした保守団体のメンバーらが「ここは韓国だ」「共産主義反対」などと叫ぶ中、韓国側の艦艇に付き添われて入港。客室の窓の多くはカーテンが閉められ、中の様子はうかがえなかった。

 保守団体のメンバーらが万景峰92に近づこうとして警備の警官隊ともみ合いになる場面も。金正恩朝鮮労働党委員長の肖像画や北朝鮮国旗に火をつける人もおり、警察が消火剤を散布するなど騒然とした雰囲気に包まれた。

 韓国は文在寅大統領が、慰安婦問題の最終解決を確認した15年末の日韓合意では「従軍慰安婦問題は解決できない」とする新方針を示すなど反日政策では強気。安倍晋三首相と文大統領との日韓首脳会談は9日の平昌五輪開会式に先立ち、会場近くのホテルで行われる予定だ。日本側は日韓合意を着実に履行するよう会談で求めるのは言うまでもない。

 一方で韓国側は、北朝鮮に対しては平昌五輪を巡って言いなりに見える。半島事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は、その理由をこう解説する。

「韓国は北朝鮮に対して複雑なコンプレックスを持っている。民族発祥の聖地である白頭山を頂く北朝鮮に対する血統的な劣等感も根強い。それに加えて戦後の抗日史観からしても、抗日パルチザンを率いて日本と戦った金日成の建てた北朝鮮に正統性という意味で軍配を上げざるを得ないのです。韓国初代大統領の李承晩は、日韓併合時代の上海臨時政府の大統領を名乗っていましたが、この臨時政府、実はせいぜい爆弾テロを起こすのが関の山で、抗日武装闘争など一度もやっていません。一方、実態は山賊に毛の生えたものとはいえ、金日成は日本の軍隊や警備隊と一戦を交えています」

 韓国が北朝鮮からさまざまな理不尽な仕打ちを受けながら、結局は彼らの言い分をのんできたのも、こういったコンプレックスや負い目のなせる業だという。北朝鮮もそれを見越して、韓国に対してますます高飛車な態度を取っているわけだ。

 さらに但馬氏は「韓国の北朝鮮コンプレックスの最たるものは女性です。韓国には“南男北女”という言葉があり、美女の産地は北とされています。確かに高級遊女でもある妓生の本場は平壌でした。あのユニバーシアード(03年、韓国・大邱)の北朝鮮美女応援団に対する韓国男性のメロメロぶりを思い出してみてください。韓国では脱北美女を集めたバラエティー番組が超人気です」と指摘する。

 北朝鮮は平昌五輪にも、えりすぐりの美女応援団を送り込んでくることだろう。

「彼女らに骨抜きにされた韓国の大衆は、ミサイルや核の脅威も、そっちのけ。親北派で大衆迎合家の文在寅にとって、それは望むことなのかもしれません」と但馬氏。

 韓国が平昌五輪成功を“人質”に、北主導の南北融和ムードにズルズルと引きずり込まれる可能性がありそうだ。