日本も米国もパイロット不足 航空業界襲う「2030年問題」

2018年02月02日 17時00分

 空の便を支える日本の航空業界が、パイロット不足に悩まされている。

「バブル期に大量採用された50代前後のパイロットが退職を迎えるのが2030年ごろ。パイロット不足になることは目に見えている。便が飛ばせなくなれば、航空会社の経営も悪化する。これが航空各社が直面する“2030年問題”です」とは航空アナリストだ。

 航空会社を所轄する国土交通省は、22年における日本全体のパイロットの必要数を7000人前後と試算。現在は約5700人で、4年後には1300人を増やさなければならない計算だ。

「パイロットの退職者が毎年100人以上出るので22年までに400人以上が退職する。国交省試算の1300人ではなく、1500人以上増やさなければならない。現在の養成機関では到底不可能」(航空会社関係者)

 パイロットはJALやANAなどの大手航空会社の自社養成で年間約50人、独立行政法人の航空大学校の卒業者で約80人、私大パイロット養成コースで約80人、民間の操縦士養成学校の卒業生を加えても、計230人弱しか誕生しない。

「22年まで年間約400人ずつ4年補充しなければならないのに、このままでは逆に1年に約170人が不足する。リーマンショックの時もパイロット不足が起き、外国人で何とか補充しましたが、今は補充元だった米国も不足している。リーマンショック翌年の09年には映画『ハドソン川の奇跡』の基となった事故と、もう一つ大きな事故があり、機長や副操縦士の資格が厳しくなった。その上、給料が“安い”ためにパイロットのなり手が減っているんです」(同)

 さらに、日米のパイロット不足を加速させている原因が、アジア系航空会社の動きだ。

「日本の大手航空会社のパイロットの平均年収は1800万円前後ですが、中国はその倍以上の金額を提示してヘッドハンティングしている。年間、約230人のパイロットが誕生しても、全員が日本の航空会社に就職するとは限りませんからね」(前出のアナリスト)

 日本の航空各社は、民間養成機関の学生に奨学金制度をスタートさせるなど対策を講じているが、抜本的な解決策には至っていない。