成人式当日に営業を放り投げて雲隠れを続けた着物レンタル・販売会社「はれのひ」篠崎洋一郎社長(55)が先週末にようやく会見を開いたが、被害者の怒りは広がっている。

 篠崎社長は26日の会見で、式の前後の日々について「私も幹部もギリギリまで業者にあたり、本当に精一杯やった」「隠れるつもりはなかった」「毎日とても寝れるような状態にない」などと自分もまるで被害者のような発言に終始。謝罪の言葉も被害者は受け入れられるわけがない。ある被害女性は「何を言ってるんだ。許せない」とバッサリ斬り捨てた。

 負債総額は11億円程度と見込まれる。保管していた振り袖約1200着のうち、4割は購入者に配送されるが「成人式で着ようとしていた振り袖を式の後でもらってもどうしようもない」(前同)。残り6割のレンタルの振り袖は物品も支払ったお金も戻ってくる見込みはない。

 成人式に出られなかった人たちのため、ボランティアで写真撮影や振り袖の貸し出しを受け付ける団体や企業にも「思ったほど人が集まらない」(ある写真スタジオ)という。「成人式は同級生と共有するもの。1人で何かする気にならないんだと思う。はれのひは本当に取り返しのつかないことをした」(前同)

 会見を見ていた人々からは「言い訳だ」「反省してない」の声のオンパレード。6月20日に予定される債権者集会では篠崎社長への集中砲火が不可避だ。当然、詐欺罪での立件を追求せよという熱も高まっている。

「どこかであの社長が引き返していれば、こんなに泣く人は出なかった。これが法律で裁けない世の中はおかしい」と先の被害者は訴える。法曹関係者は「会見では資産は不動産もないし、預金も数十万円と言っていたが、隠し財産を指摘する声は多い。被害者に泣き寝入りをさせることは許されない。財務状況の徹底解明が求められる」と話している。