中国政府は24日までに、ラップ・ヒップホップ歌手をテレビやラジオ番組に出演させない“ヒップホップ禁止令”を出したと、中国メディアが報じている。

 中国メディアによると、メディアを管理する国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局が「入れ墨のある芸能人、ヒップホップ文化、不健全な文化は番組で扱わない」よう関係機関に求めた。当局の意向を受け、中国の有名ヒップホップアーティストのテレビ出演のキャンセルが相次いだほか、ラップミュージックの音源が中国国内のストリーミングサイトから削除されるなどの事態に発展している。

 中国では近年ラップバトル番組が毎週放送されたり、中国人ヒップホップアーティストが海外で活躍するなど盛り上がりを見せていたが、歌詞で物事を批判したりけなすヒップホップという文化が体制批判に結びつきやすいため、当局が大衆に浸透することを警戒したとみられている。

 中国政府のメディアへの言論統制は今に始まったことではない。中国政府は2012年「文化体制改革」の名目の下「お見合い番組、隠し芸大会、リアリティー番組、オーディション番組」などの人気番組にバラエティー禁止令を出し、多くが消滅した。

 16年の在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題の際は、韓国ドラマの放送や韓国人タレントのテレビ出演など韓国カラーが一切排除された「韓流禁止令」が出された。

 近年では、クリスマスの行事や活動を取り締まる「クリスマス禁止令」も出されている。昨年、中国国務院が「西側文化の侵食に対抗せよ」と地方政府に通達したことによるもので、一部の地域でクリスマスツリーや飾りの製造や販売が禁止されたほか、クリスマス行事の現場に警官隊が踏み込むなどの事態が発生したとも。習近平政権のメディア・娯楽文化への締め付けは強まる一方のようだ。