【北朝鮮の視察団】美女団長の正体

2018年01月23日 07時15分

見物の市民に笑顔を見せる玄松月氏(ロイター)

 平昌冬季五輪に合わせて北朝鮮が韓国に「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」を派遣するのを前に、北朝鮮から楽団団長の玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏ら7人の視察団が21日、公演会場の下見のため、陸路で韓国を訪れた。平昌大会に絡み、北朝鮮からの視察団は初。当初は20日からの予定だったが、いったん中止され、1日遅れての韓国入りとなった経緯については説明せず。視察団のリーダーを務めた美女・玄氏については様々な情報が飛び交っている。

 視察団の7人は五輪でスケート競技が行われる北東部江陵で公演候補地2か所を視察。北朝鮮の五輪参加や南北交流行事の準備作業が本格化した形だ。

 楽団は五輪に合わせ、江陵とソウルで1回ずつ公演することで南北が合意している。玄氏らはソウル北方都羅山の南北出入事務所から韓国に入国し、韓国政府のバスでソウル駅へ移動後、高速鉄道KTXで江陵へ。見物の市民が拍手を送る中、玄氏は微笑をたたえながらも無言を貫いた。

 韓国内では、アイスホッケー女子の南北合同チーム結成で韓国人選手の出場枠が減ったり、開会式で合同入場行進を行うため、開催国でありながら国旗でなく朝鮮半島を描いた「統一旗」を使ったりすることに批判がくすぶっている。

 大統領府の尹永燦・国民疎通首席秘書官はこの日「北朝鮮の五輪参加は朝鮮半島の平和構築の糸口をつかみ、五輪の成功に寄与する」と強調し、北朝鮮の参加と南北協力への理解を国民に求める声明を発表した。

 一方、北朝鮮は同日、東部の馬息嶺スキー場で実施する南北合同練習などの準備で韓国が23~25日の先発隊派遣を提示したことに対し「受け入れる」と韓国に伝えた。韓国も、北朝鮮が25~27日の予定で平昌などに体育省副局長ら8人で構成する先遣隊を送ると伝えてきたことに同意すると返答した。
 視察団リーダーの玄氏は金正恩朝鮮労働党委員長に近い“謎の美女”として知られる。

「金正恩体制で結成された女性音楽グループ『牡丹峰(モランボン)楽団』団長として知られ、朝鮮労働党中央委員候補も務め、年齢は30代後半~40代前半とみられる。金正恩氏の元交際相手との説が取りざたされたことがあるが、否定説もある。2013年には一時、処刑されたとの情報もあったが、実際は逆に出世していた」(事情に詳しい関係者)

 玄氏は1990年代~2000年代に音楽グループ「普天堡(ポチョンボ)電子楽団」などの歌手として活躍。北朝鮮では独唱のCDも複数発売され、高い知名度を誇る。朝鮮人民軍大佐の軍事階級を持ち、14年5月に開かれた「全国芸術家大会」では軍服姿で演説した。正恩氏との私的な関係は不明だが、一著名歌手にとどまらない信頼を得ているのは間違いない。

 今回の韓国派遣に際しては、「牡丹峰楽団」の団長として知られてきた玄氏について、北朝鮮は「三池淵管弦楽団の団長」と韓国側に伝えてきたという。

「このため、日本のマスコミでも玄氏の肩書きは、牡丹峰楽団の団長と三池淵楽団の団長とバラバラ。混乱しているのです」(テレビ関係者)

 視察団一行は22日、KTXでソウルに戻り、韓国を代表する大規模劇場「芸術の殿堂」を視察し、帰路に就くとされている。