6日未明に千葉県や静岡県伊豆半島周辺を震源とする地震が相次いだ。東京23区で震度4以上を観測したのは約2年4か月ぶり。5日には予想最大震度5強の緊急地震速報が出て、空振りはしたものの新年早々、肝を冷やした人も多いだろう。専門家によると地震の巣である日本列島は2020年を前後に大地震に見舞われる危険性が非常に高いというのだ。

 新年早々、騒動となったのは5日午前11時2分に全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて、スマホや携帯電話、テレビ等でアナウンスされた予想最大震度5強の緊急地震速報だった。直後に茨城県と石川県で震度3の地震が発生したものの速報が出た関東の1都6県や福島県のほとんどは揺れを感じることはなかった。

 気象庁は「同時間に茨城県沖と富山県西部を震源とするマグニチュード3・9の地震が発生し、2つの地震を同一の地震として処理したため、過大に予測した」と説明。ネット上では「北朝鮮のミサイルが飛んできたかと思った」「人騒がせもいいところ」と散々だったが、その後、地震が相次いだのだ。

 6日午前0時54分ごろに東京23区と神奈川県などで震度4、同午前4時38分と同午前5時48分ごろには静岡県で震度3の地震が起きた。23区で震度4以上の地震を観測したのは2015年9月12日以来だったが、これは大地震のほんの前触れかもしれない。

 日本列島では一昨年、熊本で震度7を2回連続する大地震が発生するなど震度5弱以上は計33回。昨年は震度5弱以上は計8回しかなく、2011年の東日本大震災以降、最も大揺れが少ない年だった。だがその分、ストレスが解放されなかったため、次の地震に向け、エネルギーをため込んだともいえる。

 政府の地震調査委員会は今月中旬、M8~9と推定する南海トラフ巨大地震について、30年以内の発生確率を70%程度から70~80%に引き上げる。また、首都直下地震も30年以内に70%程度とされ、先月には北海道の千島海溝を震源とするM8・8以上の地震が今後30年以内に最大40%と発表した。

 東日本大震災以降、懸念されているのは大地震の連動だ。869年に三陸沖で発生した貞観地震から9年後に関東地方を襲う直下型の大地震が発生。さらに887年の仁和地震は南海トラフを震源とし、大地震が連動した過去がある。地震学者の間では2020年前後に首都直下や南海トラフを誘発するのではないかとの見方が強い。

 火山噴火や地震の目から大地震や火山噴火の発生を的中させてきた琉球大学の木村政昭名誉教授は、M7・5以上の大地震が起きる震源地を北海道千島海溝、岩手県沖、伊豆諸島沖、日向灘沖、奄美大島沖、八重山諸島沖と予想している。政府の地震調査委が警戒する南海トラフ地震には「今のところ地震の目はなく、異常はない」(木村氏)とみている。

 一方、首都直下地震に対してはM7を超える地震は考えづらいものの、M7以下でも大被害となるために要警戒だという。

「2011年に三陸沖にM9クラスが起きた。これだけの地震が起きた後に何も起きないというのはあり得ません。かなり大きな地震を想定しないと危険です」(木村氏)

 東日本大震災同様、沖合で大地震となれば、大津波が発生する。また木村氏が心配しているのは日本列島周辺で超巨大地震が発生し、富士山噴火へ連動することだ。

「富士山のマグマだまりが上がってきている。周辺で大きな地震があって、マグマだまりにプレッシャーをかければ、噴火する可能性は十二分にある」

 元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は「緊急地震速報が鳴って、東日本震災以降、久々に緊張した人も多いでしょう。また避難や対処行動をとらなかった人も多いでしょうが『大丈夫』という災害心理学の正常性バイアスが働くのが一番怖い。毎回誤作動するなら問題だが、どう行動するかの訓練だと思えば、大地震が来ても対処できる」と指摘する。

 いつ起こるか分からないが、いつか必ず来る大地震や大災害に備え、防災意識を高めたいところだ。