クリスマスイブに父を殺害する2件の惨劇が起きた。両親を包丁で切りつけたとして、大阪府警は24日、大阪市の無職原孝佑容疑者(23)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。父親はその後死亡し、容疑は殺人容疑に切り替えられた。

 平野署などによると、原容疑者は24日午前8時半ごろ、自宅で同居する父の信介さん(55)の顔や背中などを包丁で刺し、殺害しようとした疑い。同居する祖母から「(孫が)包丁を持って暴れている」と通報があり、署員が駆けつけると、3階居間で信介さんが血まみれで倒れていた。母親(54)も胸などを切られて負傷したが、命に別条はないという。

 現場から逃走した原容疑者は約45分後、自宅から約500メートル離れた東大阪市の路上で発見された。返り血を浴びた服のままたたずんでいたといい、署員に「自分が包丁で切りました」と容疑を認めたため、現行犯逮捕となった。

 動機については「今は言えない」と供述。捜査関係者によると「現場の状況を見る限り計画性はなく、衝動的な犯行。殺された父親は顔を複数回切りつけられており、犯人の強い殺意がうかがえる」という。近隣住民からは原容疑者が両親と口論を繰り返していたとの情報もある。

 一方、和歌山県警有田署は24日、父親を包丁で刺して殺害しようとしたとして殺人未遂容疑で、有田市の職業不詳若松広規容疑者(30)を現行犯逮捕した。同署によると、父親は意識不明で病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。

 逮捕容疑は24日午後10時25分ごろ、自宅で同居する父郁夫さん(59)の背中を包丁で刺し、殺害しようとした疑い。同署によると、広規容疑者は「オレがおやじを刺すわけがない」と容疑を否認しているが、郁夫さんは自宅2階にある広規容疑者の部屋で倒れていた。

 2人は有田市内の飲食店で食事をして帰宅した後で、広規容疑者は逮捕時、酒に酔っていた。同容疑者は郁夫さんと母親(55)との3人暮らしで、母親が「息子が夫を刺した」と110番し、駆け付けた署員が取り押さえ、血の付いた刃渡り約27センチの包丁を押収した。