脱北者2万人の情報流出 残された家族に待つ過酷運命

2013年01月28日 16時00分

 国連安全保障理事会が制裁強化決議案を全会一致で採択したことへの反発から核実験秒読みと警戒される北朝鮮。その北朝鮮スパイが韓国で逮捕され、両国間の緊張が一気に高まっている。


 韓国情報機関・国家情報院は23日までに、脱北者2万人近い個人情報を北朝鮮に流出させた疑いで、ソウル市職員として働いていた男を国家保安法違反容疑で逮捕した。


 韓国メディアによると逮捕された男も表向きは脱北者で年齢は30代、北朝鮮では外科医をしていたという。男は2004年に“脱北”。韓国で暮らす訓練を受けた後、2年前から脱北者を支援するソウル市福祉政策課の職員となっていた。ところが男は1万8000人以上の脱北者データを北朝鮮の情報機関・国家安全保衛部にインターネットなどを使って流していた。


 大胆なスパイ活動を行っていたと知った国家情報院は身柄確保に急いだが、男は捜査の手が伸びていることに気づいて国外に逃亡しようと行方をくらませた。捕まえたのは1週間ほど前。逃げる寸前だったという。


「その後の調べで、男は北朝鮮の人民軍エリートでスパイ訓練を受けていたことがわかった。南北関係を描いた韓流映画の北朝鮮スパイそのもの。国家情報院は大失態を犯してしまった」(日本の公安関係者)


 脱北者の詳細データが北朝鮮当局に筒抜けになっていたことで、残された脱北者の家族や周辺の人物などが処罰されている可能性も高い。


 このまま情報流出が続くと“犠牲者”が増えることは火を見るより明らかだ。


「韓国で暮らす脱北者の数は約2万4600人。北朝鮮当局に新たに情報をつかまれてしまった脱北者にしたら、大変不安だと思います。脱北の事実が当局に知られてしまえば、その家族や親戚は過酷な強制労働を強いられる。収監されると服役期間は2~5年といったところでしょうか」(前出の関係者)


 韓国は国連安保理の決定だけでなく、独自の制裁措置も検討する方針を明らかにしている。