韓国・文在寅大統領(64)が14日、就任後、初めて中国の習近平国家主席(64)と北京で首脳会談を行ったが、相変わらず韓国内ではゴタゴタが続いている。名門女子大である梨花女子大学のキャンパスに建つ、初代総長・金活蘭(キム・ファルラン)の銅像の撤去運動が起きて収まりがつかない。文政権下で広がる反日運動とも関連しているだけに厄介だ。しかも文政権は、獄中にいる親北朝鮮・反米・反日思想の極左暴力活動家の恩赦を計画しているというから目が離せない。

 金氏(1899~1970)は韓国の女性教育の先駆者で、日韓併合時代、朝鮮YWCA設立に尽力した社会活動家・教育者で、朝鮮の女性ではいち早く米国に留学し、博士号を習得した才女だ。45年に設立された梨花女子大では初代総長を務めた。

 一方で、創氏改名論者で自らも天城活蘭(かつらん)という日本名に改名。戦時中は学生たちに積極的に勤労動員に参加することを勧めたりなどの行為がアダとなって、近年「親日派」(=チムイルパ。韓国では売国奴の意)に認定された人物だ。

 このため、金氏の銅像の前には現在、彼女の「親日行為」を記した立て看板が立てられ、銅像本体には「梨花の恥」「(銅像は)日本へ」となどの無数の貼り紙やペンキによる落書きがなされている。11月末に立て看板は大学側が撤去したが、設置した学生団体は「片付けたからといって金活蘭の親日行為が消えるわけではない」などと主張している。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は、この状況を見て「思い出したのは、近代中国最大の黒歴史でもある文化大革命。大躍進政策の失敗により、失脚していた毛沢東が復権を願い、紅衛兵と呼ばれる狂信的なシンパ学生を扇動して起こした一大権力闘争です。その実態は政敵のつるし上げ、粛清にとどまらず、毛沢東以外のあらゆる価値観を認めない、革命の名を借りた徹底的な文化破壊運動でした」と話す。

 過去には歴史的建造物だった仏教寺院や孔子廟がことごとく破壊され、貴重な経典や古文書も焼かれた。仏像の首はもがれ、孔子像の目はくりぬかれ「愚か者」と書かれた札を首からぶら下げられたという。

 但馬氏は「韓国では文在寅左翼政権の誕生で、盧武鉉元大統領時代の親日派狩り、日帝残滓狩りが復活の気配を見せています。たとえば、交通会社は鉄道用語のうち日本語由来の『駐在所』『運行時隔』『改札口』など約140の鉄道用語を韓国語に置き換えることを決めた。運行上、混乱が起きないか心配になります。私はこうしたナンセンスな日本文化・親日派狩り運動を『文化小革命』と呼んでいます」と指摘する。

 さらに文政権はとんでもないことを計画しているという。

「現政権で初の受刑者の恩赦を計画しているのです。対象は朴槿恵政権下で、反政権デモやTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備反対デモで破壊行動に走った過激分子からのえりすぐりだといわれています。いわば、極左暴力活動家たち。彼らは文在寅シンパ、親北朝鮮・反米・反日の狂信者です」(但馬氏)

 文大統領にとっての“紅衛兵”となるのが、恩赦で大手を振ってシャバに出てくる極左過激分子だというのだ。

 但馬氏はその危険度を「彼らは政権が表立ってできない、反THAAD運動、反済州島基地建設運動の過激デモ活動を扇動し、米韓同盟、日韓関係にくさびを打ち込み、北朝鮮を利することで赤化統一の一歩とする目的。過去清算の名の下に文化破壊も進んでいくでしょう。半島有事の際、彼らの破壊の矛先が在韓邦人に向けられる可能性もゼロではない」と指摘している。

 文氏は13日、首脳会談に先立ち、北京で演説し、発生から80年をこの日迎えた南京大虐殺に触れ「中国と韓国は帝国主義による苦難や抗日闘争をともに経験し、苦しい時期を送ってきた。韓国は中国が経験した苦しみに深い共感を持っている」と述べた。

 中韓がともに日本に支配されたことを強調し、親近感をアピールする狙いがあるとみられるが、韓国の反日政策はさらに強まる可能性が高い。