不法侵入老人の悲しい身の上

2013年01月26日 16時00分

 胸が苦しくなるようなニュースだ。京都府警上京署は20日、女性宅の玄関ガラスを割って侵入したとして、住居侵入容疑で住所不定の無職の男(71)を逮捕した。

 容疑は、20日午前7時50分ごろ、京都市上京区内の無職女性(78)の自宅玄関のガラスを割って中の鍵を開け、自宅内に侵入した疑い。その様子を見ていた近隣住民の通報によって駆けつけた警官に、男は「かつてここに住んでた。自分の家だ」などと話したという。

 男は女性の義理の弟にあたる。この家に一緒に住んでいたこともあったというが、それは40年以上前の話だ。長い間、親交は途切れていた。それもそのはず、男は刑期を終えて刑務所を出てから1週間足らずだった。所持金はわずか数百円。

「寒くてどこにも行くところがなかった。気になって寄ってしまった」と供述しているという。

 男の身の上に同情してしまう部分もある。刑務所を出所して行き場のない人などを受け入れる施設「愛恵園」(愛知県)の施設長は「刑期にもよりますが、出所時に1万円さえ持ってない方が多い」と話す。

 刑務作業の報酬として“稼いだ”1万円だけ持って社会復帰しろというのは、出所者にとって相当厳しい。現実的には福祉事務所を訪れて生活保護を申請することになるのだという。

 たとえ一時的な生活場所が決まったとしても「そこから先がないんです。一生懸命就職活動しても、本当に今は仕事がないですね」(施設長)。

 特に高齢者は出所してもすぐに万引きなどをやって、刑務所にUターンすることに。高齢累犯者の存在はすでに社会問題化しているが、施設長は「介護も食事も心配のいらない刑務所が最後のセーフティーネットになっている。刑務所の外での将来が想像できない現状に問題があります」と指摘した。