“クリスマス作戦”決行か――。最新ステルス戦闘機F22や電子偵察機など230機が集結して「史上最大規模」(韓国軍)の米韓合同軍事演習が4日、韓国と周辺地域で始まった。今回の軍事演習は「テロ支援国家」再指定や経済制裁への反発から先月29日に新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)の「火星15」を発射した北朝鮮に対しての大デモンストレーション。米本土には「挑発を続ければクリスマスまでに攻撃がある」というムードが漂っている。米国が攻撃を仕掛けるXデーがいよいよ来るのか? 専門家に聞いた。

 北朝鮮が発射した「火星15」は、通常より高い角度で打ち上げるロフテッド軌道で発射され、大気圏再突入の際にバラバラに分解したとされる。だが、通常の軌道で発射した場合の射程距離は1万3000キロと米本土全体が射程に入るとの分析もあり、北朝鮮が全米を標的としたICBM攻撃能力を手にするのに、さして時間がかからない可能性を示した。

 現にマクマスター米大統領補佐官は2日、北朝鮮の核ミサイル開発について「成功でも失敗でも技術は進歩していく。早急に解決できなければ武力衝突が刻一刻と迫っている」と危機感をのぞかせた。また、米共和党のリンゼー・グラハム上院議員も「在韓米軍の家族を退避させなければならない」と言及。米本土でも「クリスマスまでに攻撃があるのでは!?」ときなくさい雰囲気が漂い始めている。

 米国や日本はもちろん世界中のキリスト教エリアが、ツリーのまばゆいイルミネーションの前で盛り上がっているそのとき、トランプ大統領の命令で金正恩朝鮮労働党委員長の隠れ家に向けピンポイント爆撃のためのステルスが発進している可能性もあるというのだ。

 元韓国国防省分析官で拓殖大客員研究員の高永テツ氏は「230機もの空軍戦力を展開する軍事演習の狙いは、今後、北朝鮮が軍事挑発を続ければ攻撃するという警告です。追加経済制裁や軍事演習に対抗して、北朝鮮がミサイル発射実験や7回目の核実験を行えば、米国にとって待ったなしのチャンスです」という。

 1発のICBM発射実験で、外交努力での解決がほぼ不可能になったとの考えをより深めたトランプ大統領にとって、正恩氏の次なる挑発行動が攻撃のGOサインになるというわけだ。

「事実、北朝鮮の重要施設をピンポイント空爆する想定訓練も行っている。正恩氏の居所や核施設、ミサイル発射台など毎日更新している700か所あまりの標的情報に対して、トマホークとイージス艦のミサイル合計2000発の照準を合わせており、命令さえ下れば15分で攻撃できてしまう。北朝鮮空爆の緊急ニュースが米国人へのクリスマスプレゼントというわけです」

 もはや戻るに戻れない一触即発状態だという。

 ただ、一方で、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「年内に軍事衝突が起こる可能性は0%」と言い切る。

「まだ軍事衝突の段階には至っていない。北朝鮮を“米国は本気だ”とビビらせ、中国に対北石油禁輸などを求めた圧力をかける“心理戦”のための情報がリークされているだけ。米国から官邸に事前に『戦争をやるつもりだ』などと耳打ちがあって、それが日本のマスコミに漏れるなんてことがあるわけがないのです」

 いまだ米国は、中国なら北朝鮮を抑え込めると信じており「核爆弾で反撃されたら米国だって大きな被害をこうむるので、現状ではそこまで介入する覚悟はない」と黒井氏は指摘する。

 朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は4日、「米韓合同訓練は核戦争勃発の前奏曲だ。決して座視せず断固対応する」との論評を掲載している。