日本の化粧品大手「ポーラ」は26日までに「中国人お断り」の貼り紙をしていた販売店を営業停止にし、同店オーナーとの委託販売契約を解除した。日本の同業者らからは「中国人を出禁にする気持ちはわかる」と同販売店側への同情論が浮上している。化粧品を求める中国人客の横暴に悩まされている現場の声とは…。

 今回の騒動は、中国人と思われるユーザーが「中国の方出入り禁止」の貼り紙を入り口に張っているポーラの店の写真を24日に中国のSNSにアップしたのが発端。瞬く間に情報は拡散し、同社も当該店を特定すると、25日付で公式HPに「弊社店舗における不適切な貼り紙について」と題した謝罪文をアップした。

「事態を重く受け止め、事実確認が出来次第、当該店舗においては営業停止をするととともに、厳正なる処分を実施」と記載された通り、26日には店の営業停止、委託販売契約も解除した。ただ、出禁貼り紙が貼られていたのは、SNSで指摘されている情報とは異なる店舗だという。

 同社が迅速な謝罪対応をしたのは当然のこと。日本の化粧品業界は中国人抜きには商売できない。都内高級百貨店の化粧品売り場で働くBA(ビューティー・アドバイザー)の女性Yさんは「私は外資ブランドだからマシだけど、国内ブランドのBAは本当に大変」と現状を話す。

 中国人は海外で買った方が安い他国ブランドよりも、海外でも買えることは買えるが物が少ない日本ブランドを爆買いしていく。ツアーの行程に「買い物」が組み込まれているため、百貨店は修羅場と化す。

「いつも大行列で『物がない!』と片言の日本語で怒る光景も目にする。『値引きしろ!』『オマケつけろ!』もよく言われますが、百貨店でそんなこと言われても…」(Yさん)

 女性客だけではない。老若男女が売り場や通路にキャリーバッグを広げて荷物整理している。バイヤーもいて、買い占めにひと役買う。「日本人のお客様からは『日本じゃないみたいね。ゆっくり見に来たいけど、あまり来たくないわ』って嫌そうな顔して言われる」(Yさん)。限定品は個数制限がかかっていることもあり、何人ものバイトを雇って並ばせている中国人もいるという。

 ポーラには直営店とフランチャイズ店がある。貼り紙の店は後者だった。業界関係者は「想像するしかないけど、中国人に詰め寄られて、買い占めを許したんだと思う」と語る。店にとっては「買い占め完売御礼ありがとう!」にはならない。

「ポーラの個人店では(販売の)“レディーさん”が歩合で働いている。もし1人のレディーさんが中国人の爆買いを許して欠品させたら、他のレディーさんは売る物がないから、売り上げを取れない。買い占められたら迷惑なだけ。百貨店や直営店に歩合はないし、本社の目があるから絶対に貼り紙なんかしないんです」(同)

 一方で「黒い立派な銀聯カードでお支払いをしていく品の良い中国人のお客さまもいる」(同)ことも事実。大多数のマナーの悪さが中国人のイメージを低下させている。