小池百合子東京都知事(65)は21日、代表を辞任していた希望の党から特別顧問を打診され、受諾した。助言するだけの名誉職で、今後も都政に「専念する」が、足場は崩壊寸前。秘策とされていた“築地カジノ構想”も幻になりつつある。

 昨年8月、小池都知事の誕生で、熱視線を送ったのがIR(カジノを含む統合型リゾート)業界だった。東京都はカジノ誘致で石原―猪瀬都政では積極的だったが、舛添都政で撤退。湾岸地区のお台場に用意していた土地も民間に貸し付けてしまっていた。

 そこに小池氏が登場。「小池氏は世論を気にして、表向きはIR誘致の話題は避けてきたが、バリバリの解禁論者。お台場構想が潰れ、都内には誘致する場所がなかった中で、豊洲移転に伴う築地市場の跡地について、売却ではなく再開発を掲げた。食のテーマパーク構想ですが、タワービルを建て、その中にカジノを誘致できないかを検討していたんです」(IR関係者)

 長年膠着していたIR整備推進法が昨年末、国会で成立。政府はIR整備実施法案の審議を前にギャンブル依存症対策をまとめている最中で、来年の通常国会では、まとまる公算が大きい。

 先の衆院選で希望の党が躍進し、小池氏が“女帝”となっていれば、このカジノ構想も日の目を見るかに見えたが、大敗で国政撤退どころか都政運営もレッドカードを突きつけられる状況になっている。

「IR招致には地元の理解が何よりも必要。小池氏がもはやレームダック(死に体)になりかけている中、築地再開発の議論もまとまるどころか、カジノと言いだせる状況ではない。もはや任期を全うできるかどうかの話」(前同)

 既に水面下で地方自治体のカジノ誘致合戦は過熱している。大きく出遅れている東京が巻き返すには、あまりに困難な状況だ。