公立高校生差別か!? 都道府県立高校のトイレの洋式化率が全国平均で35・8%にとどまることが20日、国会議員や地方議員らによる「学校トイレの洋式化を推進する議員ネットワーク」の調査でわかった。文科省調査では公立小中学校は43・3%となっており、全国の公立校の過半数がいまだ和式便所であることが明らかに。進まない洋式化の背景とは…。

 同ネットワークによると、今年4月1日時点で全国約3200の都道府県立高校にある約22万5000基の便器のうち、約8万基が洋式、約14万5000基が和式だった。また、都道府県別の県立高校の洋式化率は岐阜(62・4%)が1位、最下位は愛媛(18・6%)となり、地域間の格差も大きい。


 公立小中校でトイレを洋式化する場合、国がコストの3分の1を負担している。だが、義務教育でない高校は対象外であることも洋式化遅れの原因だ。大人たちは日々の社会生活で洋式を目にする方が多いだろう。学校だけがガラパゴス化しているのだ。

 同ネットワークの事務局を務める千葉県・松戸市議の関根ジロー氏(33)は「今の子供は生まれた時から洋式で生活してきた。学校で和式を知って『なんなのこれ?』とビックリする」と話す。

 学校の和式は「くさい、汚い、怖い、壊れている、暗い」の“5K”。トイレに行こうとしない子供や、そこで排せつしてイジメられる子供や、不登校になる子供がいる。

 アンチ洋式派は「他人の座った便座に触れたくない」と意見する。しかし、関根氏は「精神的に受け取る汚い感じと、現実的な汚れは切り分ける必要がある」と強調。

「TOTO研究所によると、洋式の便座と、和式トイレの周辺の菌を比較したところ、圧倒的に後者が汚かった。上履きに菌がついたまま、教室に行くと、大腸菌が口に入るリスクがある」(関根氏)

 子供の健康を考慮すれば、どちらを導入するべきかは明らかだ。しかも長期的に見ると、洋式化は経済的だ。

「洋式は水道代を和式の3分の1に圧縮できる。松戸市では約20年で回収できる試算。学校のエアコン導入も進んでいて税金がかかる一方だけど、洋式化はちゃんと水道代が浮く」(関根氏)

 子供たちが苦労をしている一方で、学校の大人たちは洋式を使っている矛盾もある。

 関根氏は「職員用トイレは洋式ばかり。来賓が使うことを考えたら、理解もできる。しかし、大人だけが子供に和式を強いる構図はいかがなものか」と語る。

 東京都・大田区議の岡高志氏も「学校の上層部は『和式で足腰を鍛えなければ』と言うが、彼らの家の便器を問うと必ず洋式。これじゃスジが通らない。彼らの意識が変わらないうちは、洋式化も進まない」と話す。

 関根氏によると、松戸市の市立高校では全校洋式化を進めた。女子トイレには擬音装置「音姫」までつけたという。県立高校との差別化をトイレで図る時代なのだ。

 事情通によると、文科省は無駄な出費を抑えるため、公立高校の統廃合が進んだ後に生き残った高校の洋式化を進めるとの噂もあるそうだ。

 大震災など有事の際、学校は避難所の機能を果たす。東日本大震災のときは老人や障害者が和式を避けて我慢した結果、体調を崩す事態も起きた。関根氏は「すぐにでも100%にしたいが、実態は難しい。定期的な調査で状況を確認したい」と話している。