「震災ペットレスキュー」参加者が語る現地の実態

2011年04月20日 14時00分

東日本大震災の被災地では、今も多くの人が避難生活を強いられているが、その一方で避難できない“小さな被災者”がいる。中でも福島第1原発20キロ圏内には今もペットが推定2000匹以上取り残されているという。現地で3週間近くボランティアで「ペットレスキュー」を行った俳優松本晋介(32)が実態を語った。

松本は「募金もしましたが、何か違う。被災地で必要なのは人手じゃないか。自分は体も丈夫だし、何か役に立てれば」と考え、舞台と大手量販店のバイトを休んで3月19日に東京を出発。NPO法人の動物愛護団体と合流し、福島県、宮城県へ向かった。
被災地には飼い主が行方不明になったり「ペット不可」の施設に避難したため、取り残された犬猫が数多くいた。松本らは救援物資としてペットフードなどを各地に配り、飼い主から依頼を受けた犬、道中でさまよう犬も保護した。
「いわき市のある神社では『つれていけません どなたか預かって下さい』という張り紙とともに、犬がつながれていました。バスで集団移動する場合、犬は乗せられない。泣く泣く置いていくケースが多い。保護したガリガリにやせたラブラドールレトリバーのハウスの前にはフンが大量にありました」
仙台市では消防団からの情報で、津波で流されたプレハブに閉じ込められた大型犬を、震災から10日ぶりに松本が救出した。こうして保護した犬は愛護団体のシェルターへ移送。3月28日から7日にかけては、いわき市に拠点を構え、福島原発20キロ圏内にも入った。
「原発周辺の道路は全く補修されておらず、あっちこっちで割れた道がそのまま。車が止まると5〜6匹の犬が集まってくる。取り残されている犬は100匹、200匹なんてものじゃないでしょう」
原発から4・5㌔の家ではエサを与えられず、ぐったりした犬を保護した。「10キロ地点の犬はバケツいっぱいのエサと水が置かれてましたが、エサは全く減ってなかった。飼い主が突然いなくなったのがよほどショックだったのでしょう」
4・ 5㌔地点の家で発見した猫は保護できなかった。「犬と違って、猫はすぐ逃げ隠れしてしまう。20キロ圏内の作業は時間との戦いなので、現地で保護するのはほぼ無理。猫は飼い主から直接渡されたコを預かっています」。猫は、飼い主が行かない限り連れ出すのは難しいという。
救助した犬は全てスクリーニングし、放射能をチェック。松本らも毎日検査を受けた。犬も人間も被ばくはなかったが「一時預かりをお願いしていたドッグランから、原発から近い浪江町の犬は預かれないと突然断られたことも。地元の方が嫌がることを考えると仕方がないですが」と“風評被害”もあった。
20キロ圏の避難対象は約2万世帯。犬猫の全国世帯飼育率は犬18・3%、猫11・2%(ペットフード協会調べ)。これを当てはめると20キロ圏内には犬3660匹、猫2240匹が飼われている計算だ。
松本は実体験から、行政へこう提言する。
「ガイドラインを作り、信用できるNPOには避難区域入りを許可すべき。装備品も自分たちで用意できるのは貧弱。海外のペット救助隊は防護服、ガイガーカウンター、警棒、野犬対策のペッパースプレーを持っていた。行政がある程度用意してくれれば…」
野犬や野良猫が増えれば、結局は行政の仕事が増える。そうならないためにもペット対策は急ぐべきだ。