女子高生に入れ墨の彫師を紹介したなどとして、警視庁城東署は埼玉県青少年健全育成条例違反容疑で、指定暴力団神戸山口組系組員の高林智史容疑者(44)と彫師の根岸正敏容疑者(38)を逮捕した。逮捕は10日。

 高林容疑者の逮捕容疑は3月28日、当時17歳の女子高生に根岸容疑者を紹介した疑い。根岸容疑者は同日と4月4日、さいたま市の自宅で生徒の右肩や背中に入れ墨を彫った疑い。

 全国の同条例では18歳未満を青少年として、入れ墨を入れることを禁じている。ある彫師は「タトゥースタジオによって微妙な違いはありますが、基本的なところは一緒です。我々は仕事を受ける前に、必ず客に『20歳未満ではない』と誓約書にサインさせます」と話す。客には身分証を提示させ、18歳以上であるとしても成人になっていないと断ることが一般的だという。

 そのうえで、この彫師は「組員と彫師のどちらが悪いかといえば、彫師です」と指摘する。誓約書の中には「暴力団関係者ではない」とも必ず記載されている。「商売だから、相手がヤクザと知った上で客にすることはあります。でも、ヤクザとわかっている相手から17歳を紹介されて入れ墨を彫るのはアウトです。『20歳になってからまたおいで』と追い返すのがいい」(前同)

 彫師が仕事を選ばずに何でも受けていると、このようなトラブルが起きる。特に多いのがデザインの盗用だ。「愚連隊のメンバーからデザイン作成を依頼されて、彫る段階で音信不通に。勝手にSNSのアイコンや隊のシンボルに使われることが少なくない」(別の彫師)

 体に入っているとはいえ、入れ墨の図案の権利は作成した彫師にある。「何かに使いたいなら、言ってくれれば許可することが普通。勝手にやられたり、盗まれるのはひどい。彫師は弱い立場にあります」(前同)

 日本では入れ墨への風当たりは強く、医師法違反で彫師の摘発も相次ぐなど、トラブルは絶えない。