北欧原産の外来種・マダラコウラナメクジが北海道で急速に生息域を拡大している。

 同種は体長が最大20センチほどに成長する大型のナメクジで、ヒョウ柄のような黒いまだら模様が特徴。日本では2006年に茨城県で発見された。北海道では2012年に札幌市内で発見されたというが、北海道大学の調査では札幌から100キロ以上も離れた地域でも生息が確認されたという。ナメクジは植物の葉をエサとするだけに、農作物への影響も懸念されている。

 今年は5月に兵庫・尼崎を皮切りに東京、横浜、大阪、福岡などでヒアリが発見され、一時パニック状態に陥った。また、ヒアリ調査の過程で別の外来種・アカカミアリが見つかるなど、日本の検疫体制に疑問の声が上がっている。

 そんななか、国や自治体の環境アセスメントなどを行う生物研究者は「まだまだ発見されていない外来種が国内に潜んでいるかもしれない」と指摘する。

「外来種は人為的に国内に持ち込まれている。例えば生物愛好家の一部には海外で昆虫などを採取し、無申請で国内に持ち込み繁殖させている人がいる。悪質業者のように大量に密輸すれば取り締まりやすいのでしょうが、個人で楽しむ人は少数を密輸しているので見つからないことが多い。結果、密輸された外来種が野外に逃げ出し、ひそかに繁殖している可能性はある」

 こうした外来種が野外に逃げ出した場合、多くは死んでしまうというが、なかには日本の環境下で爆発的に増える可能性もある。前出の研究者は「生物によっては農作物に甚大な被害が出たり、私たちの生活が脅かされることにもなりかねない」と警鐘を鳴らす。

 ヒアリの件では港での検疫体制が問題視されたが、こちらは輸送の際に偶発的に上陸したもの。一方で空港の検疫をすり抜けて、堂々と外来種を密輸している人がいるのだとしたら大問題だ。

 外来種が日本で猛威を振るう前に抜本的な検疫体制の見直しが必要かもしれない。