【Jアラート】早朝の衝撃…北ミサイルが日本上空を通過

2017年08月30日 07時07分

29日早朝の旭川駅前はひっそりしていた

「頑丈な建物や地下に避難してください」――。北朝鮮が29日早朝、今年13回目となるミサイル発射を断行。菅義偉官房長官は緊急記者会見し、「5時58分ごろ1発が発射され、6時6分ごろ北海道・襟裳岬上空を通過。同12分ごろ、襟裳岬の東1180キロの太平洋上に落下した」と述べた。ミサイルは3つに分割された模様だ。全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達が行われ、北海道から長野まで東北地方を中心とした1道11県に注意が呼び掛けられた。大規模なJアラート発動は初めて。東京では地上波テレビ全局がこの情報を放送するなど「これまでにない深刻かつ重大な脅威」(安倍晋三首相)に列島は騒然となった。

「弾道ミサイルは発射から極めて短時間で飛んできます。日本の広い地域が(警報の)対象となっております。この地域の方はひとまず近くの頑丈な建物、あるいは地下に避難してください」

 列島で新しい一日の活動が本格的に始まろうとする午前6時ごろ、テレビ各局の画面が一斉に暗転した。黒地の画面の上方に「国民保護に関する情報」との文字がものものしく掲げられ、真下の赤く太いラインを挟んで注意を促す文言。さらに下に、北海道から東北6県、北関東の茨城、栃木、群馬、さらに新潟と長野の道県名が並ぶ。東京は警報の対象外だが、民放も含めてミサイル警戒情報に切り替わった。北朝鮮に強硬姿勢を取るトランプ大統領が率いる米国でも、CNNなどが速報した。

 政府によると、北朝鮮の弾道ミサイルは西岸から日本の北東方向へ発射された。6時6分ごろ北海道・襟裳岬上空を通過し、12分ごろ、襟裳岬の東1180キロの太平洋上に落下。政府関係者によると、自衛隊法に基づく破壊措置は実施しなかった。

 北朝鮮のミサイルが日本列島を飛び越えたのは、南西諸島を除き、2009年4月に人工衛星打ち上げと称して長距離弾道ミサイル「テポドン2号」改良型を発射して以来。

 安倍首相は、官邸で報道陣に「わが国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威」と述べた。韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が首都平壌の順安(スンアン)区域付近から日本海に向け、飛翔体を発射したと明らかにした。飛行距離は2700キロ、最大高度は約550キロだったという。

 北朝鮮は今月上旬、米領グアム周辺へのミサイル発射計画検討を明らかにしたが、金正恩朝鮮労働党委員長はその後、当面見送る意向を示唆していた。一方で26日に短距離弾道ミサイル3発を発射し、うち2発が日本海に落下。米国と韓国は21日から合同指揮所演習を実施している。演習に対抗した発射でミサイル技術検証に加え、国威発揚を狙った可能性がある。

 JR東日本は東北、上越、北陸の各新幹線およびミサイル発射情報の対象地域となった地域の在来線全線で、安全確認のため一時運転を見合わせた。日本航空と全日空によると、国内線、国際線ともに運航への影響はない。菅官房長官は、日本領域内の落下物は発見されておらず、船舶などの被害も確認されていないとしている。

 早朝のとんでもないサプライズに、「日本上空通過は初めてか、久々か?」「通過でよかったけど、撃ち落とせない日本ってどうなの」「Jアラート鳴ってびっくり」などとミサイル関連の書き込みでネット上は沸騰。ただ、ミサイルによる直接の被害はないためか、落ち着いた内容が多い。

 Jアラートは緊急情報を国が人工衛星を使って自治体に配信、防災行政無線などを自動的に起動させて住民に伝えるシステム。07年に運用が始まり、全市区町村に受信機が設置されている。ミサイル発射のほか、ゲリラ・特殊部隊の攻撃、大規模テロ、緊急地震速報、津波警報、噴火速報などが対象。昨年2月には、北朝鮮のミサイル発射から約3分でJアラートを通じた情報が流れ、ミサイルは約10分で沖縄県上空を通過した。

 Jアラートによる警報は今春、表現が変更されている。従来は発射情報のみで避難の呼び掛けがなかったり、より危険な場合も「ただちに屋内避難」を求める内容だったのが、今回のように「頑丈な建物や地下に避難してください」と強められた。そのメッセージがついに広範囲に向けて発せられ、早朝の列島はゾッとさせられた。