保育園プールで4歳女児溺死 なぜ行政上のペナルティーないのか

2017年08月26日 17時00分

 社会福祉法人「こぐま会」の認可保育園「めだか保育園」(埼玉県さいたま市緑区)でプール遊びをしていた女児(4)が溺死した事故で、埼玉県警は業務上過失致死の疑いも視野に調べを進めている。内閣府がプール遊びの事故防止ガイドラインを発表してから初めての死者が出てしまった。専門家は「こんな事故が起きてもペナルティーがない」ことを嘆く。

 25日に死亡が確認されたのは男性会社員(34)の次女赤沼美空(みく)ちゃん。3~5歳の19人がプールで遊んでおり、32歳と30歳の女性保育士2人が監視していた。

 県警浦和東署によると、24日午後3時40分ごろ、他の園児がプールにうつぶせで浮いている美空ちゃんの異変に気付き、保育士が119番通報した。意識不明だったが、搬送先の病院で死亡した。

 プールは縦6メートル、横4・7メートル、深さ70~95センチ。当時の水深は不明だ。

 黛秋代園長(67)は「こんなことになって本当に申し訳ない」と謝罪。プールは24日が最終日だったという。

 幼保業界のリスクマネジメントに詳しい「アイギス」代表の脇貴志氏によると、内閣府が「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン(GL)」を昨年3月に公表してから初めてのプール死亡事故だ。

 GLの「プール活動・水遊び」の項の冒頭で「監視を行う者とプール指導等を行う者」の役割分担を指示している。脇氏は「異変に最初に気付いたのが園児で、通報で『気付いたら浮いていた』としていることから、全体の監視者がいなかったのだろう。おそらく2人もプールで子供たちと遊んでいた。この時点でGLが順守されていなかったことが分かる」と指摘する。

 これまでにも保育園でのプール事故はたびたび起きている。それを受けてGLが作られたわけだが「GLを順守した上で事故が起きたら、それはハプニングです。しかし、守られずに起きた事故では言い訳が許されない」。

 園の処分はどうなるのか。

 都内のベテラン保育士は「『これからは気をつけましょうね』。それだけで終わると思う」と話す。

 脇氏も「本来、事故が起きたらGLに沿った保育をしていたか検証されて、かつ行政上のペナルティーが与えられるべきです」と言う。

 同様の事故が起きたとき、刑事・民事上の手続きとしては執行猶予付き判決が園に与えられ、遺族への慰謝料は保険でまかなわれる。人が死んでも保育園は「ノーペナルティー。失う物がないから、痛しかゆし。もしも行政が事故を起こした園を廃止すると言ったら、住民から反対運動が起きると思う。埼玉でも待機児童は多い。今回の福祉法人は他にも保育園を持っているから、指導が入れば300人の定員を失うことになる」(脇氏)

 黙っていても子供が入園してくる保育園業界の意識を変えるためには、この事故の入念なチェックとしかるべき処分が必要となる。